常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「第三級アマチュア無線技士」の試験を受けます

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〇またしても後ろ向きの興味
後ろ向きの興味が止まらない。昔取得した「第四級アマチュア無線技師」の上位の資格である「第三級アマチュア無線技師」の資格を取ることにした。理由は・・・実は自分でもよくわからない。なぜわからないのか?そこの部分を書いてみたいと思う。

 

〇30年前
私が「第四級アマチュア無線技師」の資格を取ったのは、免許証を見ると平成二年となっており、なんと今から30年以上前である。今年はちょうど令和二年なので語呂もいいと一人勝手な納得をしていたが、なんと言っても30年経っているのでかつて勉強した内容はほとんど忘れている。三級はあくまで四級を持っている人を前提にした資格であるので、四級のことを全く忘れていると試験を受けるとき困りそうである。なので、合わせて四級の勉強もするつもりで参考図書を探した結果、やはり30年前にもお世話になった「完全丸暗記」シリーズが今も販売されており、なおかつ、当時から文庫本サイズなのも変わらずだったが、昔は四級と三級は別の本だったと思う。今は何と二つが合本になっており、三級と四級が一冊で手に入ったので大変都合が良かった。

 

初級アマチュア無線予想問題集2020年版: 完全丸暗記
 

 

 

◯(再)開局申請
既に四級はあるし、当時使っていた無線機(STANDARDのC520)もあるので、再開局はすぐ出来ると思っていた。ところがやはりそこには30年という時の隔たりがあった。申請そのものはオンラインでできるようになっており、最近の特別給付金申請のように、オンラインで出来ると言っておきながら、中の人が手作業というお粗末ではないようだと思ったのが甘かった。なんと最初のユーザー登録は確認のハガキが返送されて来るのを待たなければならないのである。さすが総務省、我田引水を忘れない。
登録IDとパスワードの書いてあるハガキはすぐ届いたので、早速サイトから登録と再開局申請をしようと思ったら、その内容が良く理解できなかった。もちろん30年前もろくに勉強せず、丸暗記だけで試験を乗り切った上に、その後も全く運用せずに来たのだから、わからないのは当然のこととは思ったので、逆に30年前はなかったインターネットという広大な知識の海に出ることにした。

www.denpa.soumu.go.jp

 

〇浦島太郎
そこでいろいろ調べてみて30年前と大きく変わったことがいくつかあることがわかったのだが、その中でも「新スプリアス対応」というものがあり、現在はアマチュア無線の無線機も技適を受けていないと、使用登録できないと言うことがわかった。要するに30年前の機種は既に死んでいたのである。
実は数年前に、30年保持してきた無線機(C520)も放っておくと電解コンデンサーの劣化で液漏れして完全に使えなくなると言う記事をどこかで読んで、その時は全然再開局する気はなかったが、なんとなく直しておこうと思いネットで調べたら個人でやっている修理先があったので、そこに送って基板上のコンデンサーを全て取り替えてもらったのである。いくらかかったか忘れてしまったが、結構な費用をかけた記憶がある。なぜお金をかけてまで、その時修理したのかも良く覚えていないが、恐らく感傷的な理由と、ものを捨てられない昭和の人間の特徴が出たのだと思う。
先日物置から掘り出してきてこれも30年ぶりに使用しているキーボードはやはり古くてもいいものはいいと思わせてくれたが、無線機は技術の進歩による世の中の変化で完全に時代遅れになっていたようだ。

 

〇最初に戻って
そもそも、30年前になぜアマチュア無線を始めたのか?その理由は大学生になって車に乗ったりスキーをするとき、無線機で連絡を取れると便利だしかっこいい(?)と思ったからである。正確に言うと、そう友人にすすめられ「おまえもとったら?」といわれたからだったと思う。しかし、いざ免許を取って開局申請したものの「一度も」知らない人と交信したことがなかった。
その当時は九州は長崎に在住であり(今回の豪雨被害はテレビで見ていても心が痛みます)無線局も沢山あったので、電源を入れれば交信がいつでも可能だったと思う。だが、他人が交信しているのをちょっと聞くことはあっても、自分から電波を出して誰かと話したことはない。それなのになぜ30年の時を経て今更アマチュア無線に興味がわいたのか?

 

〇記憶の片隅
よくよく思い出してみると、大学生の時に免許を取ったが、実はもっと昔、小学生の頃にアマチュア無線の免許を取ろうと思ったことがあった。ネットで私と似たような人が同じような事を書いているのをどこかで読んだが、昔の雑誌の広告に「ハムになろう!」と言ううたい文句のページがあったのを覚えておられる方もおられるかも知れない。あの広告は通信教育のもので、私は親にせがんで申し込んだのである。はっきりとは覚えていないが結構な値段がしたと思う。申し込んでもらって、毎日教材が届くのを楽しみに待っていた。やがて分厚い茶封筒に入った(?)青いビニールのファイルに挟まった教材が届いた。今でも、小学何年生が三級免許取得などとネットでは(ごく一部で)話題になっているようだが、当時から小学生でも免許取れると言うのもまたうたい文句であった。私もてっきり出来ると思って申し込んだのだが、教材の内容に全く興味が持てず、ほとんど勉強した記憶がない。親にも後々嫌みを言われ続けたが、大学生になってやっと免許を取ったのでなんとか帳消しにして貰えたと思っている。

images.app.goo.gl

〇RADIO GAGA!
しかしその小学生の時、自分はなぜ「ハムになろう!」と思ったのだろうか。今となってはこの世にいないガラスの十代の自分が何を考えていたのかは完全に記憶の彼方だ。五十路になった自分が、おぼろげながら残っているそれを察するに、その広告に書かれていた「無線機で遠い国の人と交信」してみたいと思ったからではないか。それから考えると、最初に買ったリグ、144/430MHzのハンディ機はその目的には適していなかった。私が原初に憧れたハムの光景は、据え置き機の前に座ってマイクを持ってスピーカーから出てくる音を聞いている姿なのである。ようやくここで目指すべきところが見えたような気がした。

 

 

〇HF通信→アンテナ
そのために必要なのはHF帯で運用できる無線機(とアンテナ)だと言うことを30年たってやっとわかった。そして遠く(地球の裏側)と交信するためには出力も大きい方が有利だろう。ようやく三級を取る意味にも結びついた気がする。それと同時に今はインターネットやデジタル通信も取り込んで新しいものが出てきているようだ。
しかしここで大きな問題にぶつかってしまった。先ほども書いたように無線機とアンテナはセットだ。ハンディ機を使っているときは本体から生えてるアンテナ以外使ったことがなかったが、HF帯は7MHz帯でも10mも必要になるのである。世の中にはHF帯用のモービルホイップアンテナもあるようだが、それすら今のアパートのベランダには取り付けられそうもない。アパートやマンションでやっているハムのことを、アパマンハムと言うらしいが、そのための本も出ている様なので、それらを見て研究していきたい。

 

 

 

〇JARD講習会
冒頭に「試験を受ける」と書いたが、実際はJARDと言う団体が行っている講習会&試験で受ける予定である。これだと四級を持っている人は一日講習と試験を受けて合格すれば三級を取得することが出来るようだ。YouTubeで「アマチュア無線59」というチャンネルの鈴木さんが、一日講習に集中して受ければ受かりますとおっしゃっているので、それを信じて受けてみようと思う。まずは三級の免許をとって、HF通信の出来る無線機を買って、更にアンテナをどうやって立てるかを考えたいと思う。

www.jard.or.jp

「ハンガーゲーム」を観た

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〇今更ですが
2013年ぐらいに制作されて大ヒット、その後2、3と制作されていずれも大ヒットした作品である。なぜ今頃になって観たのか?一つ目の理由はこの本である。

工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素

 

工学的ストーリー創作入門

工学的ストーリー創作入門

 

 


物理学的ストーリー創作入門 売れる物語に働く6 つの力

 

 

この本の推奨する物語の作り方には、6つのコア要素(ここら辺はその前の本「工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素」に詳しく書かれている)があって、その中の一つの「構成」と言う要素をこのストーリー(この本では小説版を題材にしている)は大変正しく実現していることがベストセラーになって映画化までされた理由であると書いてあった。
またしても物語の書き方本を読んだわけだが、今回はそちらの話は割愛する。別の機会にしっかりと書きたいと考えている。結論から言うと、今回の二冊(実は更にもう一冊「物語を書く人のための推敲入門」という本があって、それを最初に手に取って読み始めたら、先述の6つのコア要素に関する記述があり、なんのこっちゃ?と思って巻末の解説を読むと実はこの本の前に同じ著者が書いている本が2冊ある事がわかったので、それを読んだというのが顛末である。なおさらにもう一冊続巻が出る予定だそうである)を読んで、素晴らしく役に立った。その事はいずれ別の機会に書くとして、改めて「ハンガーゲーム(映画)」について述べる。

 

ハンガーゲーム (字幕版)

ハンガーゲーム (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

〇J・ローありき?
この映画の主演女優は言わずと知れたジェニファー・ローレンスだ。私は最初に観たときは真っ青な色をしていて、何にでも変身できる超能力者の役だった(X-MENですな)が、この映画では初っぱなから大変抑圧された世界で健気に生きる少女という感じだった。実は役としてはカットニスは16歳だが、この時J・ローは既に21歳だったので、ちょっと育ちすぎの感もある。しかし、この映画やはり主演女優にこの人を持ってきたことも、大ヒットした理由だと思う。
東京アラートも解除されて、外に出る機会が増えてきて思うことだが、街角を行き交う若い女性の肌の色にドキドキと言うか、ギクッとするというか、何かこういちいち目に刺さるのである。恋愛ゲームや少年漫画なら幼なじみに高校生ぐらいになって再会し「こいつ、こんなに可愛いかったっけ……?」とフラグが立ってしまう様な感じである。
その理由は恐らく簡単で、みんなコロナ自粛で家に籠もっていたため、日に焼けていないのだろう。季節の変化に同期しておらず、肌がなまめかしく白いのである。いわば全員が深窓の令嬢のような状態なのだと思う。
この映画の中のジェニファー・ローレンスも最初は野山を駆けまわって弓矢で獣を狩って食料を集めるようなことをしているため、日に焼けて薄汚れているのだが、ハンガーゲームに代表として「選ばれて」キャピタルに着いてからは、専用のスタイリストなどに磨き上げられ、美しく、たくましい女性に変身する。
得意技は故郷でも鍛えてきた弓矢なので、劇中も弓を構えるシーンが出てくるが、その際に弓を引き絞ったときツルが唇に触れてわずかに歪むのだが、その絵にドキドキと言うかガーン!というか引きつけられるのである。(……私だけ?)

 

X-MEN:ファースト・ジェネレーション (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

〇バトルロワイヤルもの
日本でかつて「バトルロワイヤル」という小説があり、もともと何かの賞への応募作だったと思うが、審査員のだれかがあまりの不道徳な内容に怒ったと言う曰く付きの作品で、賞こそ取らなかったがその後出版され、映画化され続編も作られている。その映画の中にも弓矢を武器とする少女がいた。演じていたのは栗山千明である。その後、クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」ではセーラー服を着ながら凶悪な顔をしてトゲの着いた鉄球を鎖分銅にして、ユマ・サーマンと渡り合うと言う役をやっていた。
しかし、映画「バトルロワイヤル」での栗山千明は、同じクラスの男子に思いを寄せる一途な少女の役であり、その弓(弓道部という設定!)の技をそのために使う。その姿は今回の「ハンガーゲーム」でジェニファー・ローレンス演じるところのカットニス・エヴァディーンとも通じる部分がある気がする。

 

バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
 

 

バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1

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バトル・ロワイアル 下   幻冬舎文庫 た 18-2

バトル・ロワイアル 下 幻冬舎文庫 た 18-2

 

 

 

〇bellum omnium contra omnes
今は、参加者全員で殺し合って、最後の一人になれば勝ちというゲームがいろいろある。私がかつて紹介した「PUBG」や「FORTNITE」「APEX」「CoD」までもが参入しているようだ。コロナ自粛が始まる前に入ったゲームセンターで「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを題材にしたアーケードゲームがあったので試しにプレーしてみたが、何とこれもバトルロワイヤル形式のゲームだったのには驚いた。
これらのゲームをやっている人間にはこの映画に出てくる24人のような悲壮感は微塵もない。それはもちろんビデオゲームなんだから当たり前だが、この「自分以外みんな敵」という設定というか前提がこのコロナ時代を先取りしており実に興味深い。電車に乗っていると、乗客全員がお互いを疑わしそうに振る舞っているのが感じられるが、まさに「自分以外みんなコロナ感染者」と見なしているような状況である。
「ハンガーゲーム」の世界の設定も貧富の差が完全なる格差社会、管理する側とされる側に分かれた、管理支配される側に取ってみれば暗黒の世界だ。しかも、その中で更に貧しいもの同士が殺し合いをして、それが金持ち管理者側の娯楽になっているという狂った状況が物語の前提である。しかしそれも物語の中の世界だけではなくなってきている。
コロナ禍の世界、現在の世界においても、その貧富の差というものが命の差になっているという現実がある。アメリカでは黒人が白人の二倍多く死んでいるとのことだし、ブラジルでは、ファベーラという貧民街で感染が爆発的に増えており、治療も受けられずに死んでいるらしい。

 

tokiwa-heizo.hatenablog.com

 

Avalon
先週一週間会社の仕事で横浜の倉庫まで毎朝井の頭線東横線の電車を乗り継いで通った。その際、ヘッドホンで聴いていたのは映画「Avalon」のサントラである。川井憲次先生の曲は疲れた身体を癒やしてくれる。しかもこのコロナ禍のもとで先ほども書いたように電車の中も戦場のような殺伐とした空間である。そんななかでこのサントラを聴くと、映画の主人公”アッシュ”が路面電車で毎日オンラインゲーム「Avalon」をするために通う時の心情が察せられて大変心に滲みた。帰りの電車で夕暮れ時の武蔵小杉当たりのビル街の空疎な感じはまるで画像処理ソフト「Domino」でアフターエフェクトをかけたかのようにざらついた感触を感じることが出来た。
映画「Avalon」では「クリアできそうでクリアできないゲーム」と称された「現実」を生きる我々は正に今「ハンガーゲーム」のプレイヤーになりつつあるのかも知れない。

 

アヴァロン

アヴァロン

  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

「アナイアレイションー全滅領域ー」を観た

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〇かすかな記憶
前回のブログで、女優(ソノヤ・ミズノ)のつながりでこの映画にたどり着いたことを書いたが、しかしWikipediaでこの映画のあらすじを読んでいて何か聞き覚えがあった。それが映画ではなく原作本の話だと思い出し、基本読書のバックナンバーを検索してみたところやはり「面白い本」と言うことで紹介されていた。確かに、そのブログを今読んでも面白そうだし、これは観るしかないとおもってNetflixを立ち上げた。主演女優がナタリー・ポートマンと言うことに一抹の不安を覚えつつ再生を開始する。

 

 

エクス・マキナ [Blu-ray]

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  • 発売日: 2017/06/21
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 ※この映画と同じ監督が撮った映画でした。これにソノヤ・ミズノが出ていて、ソノヤ・ミズノラ・ラ・ランドに出ていて…同じくラ・ラ・ランドジェシカ・ローテがでてたから「ハッピーデスデイ」につながる……

 

アナイアレイション-全滅領域- [Blu-ray]

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  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: Blu-ray
 

 

〇導入部のあらすじ(ネタバレなし)
主人公のレナ(ナタリー・ポートマン)は生物学者で元軍人という不思議な(しかし日本の漫画やSFではよくある)設定だ。夫も軍人で、一年前極秘任務に出たまま行方不明になっていたのだが、突然戻ってくる。しかし何か様子が変だ。そう思っているうちにぶっ倒れたので救急車を呼ぶと、搬送中に警察の特殊部隊に捕まって謎の基地に連れて行かれる。その基地はアメリカのある場所で起きている怪異現象を解明するために作られた場所で、これまで何度も調査隊を送り込んだが、誰も帰ってこない。実は夫もその調査任務に行っていたことがわかる。自分自身もその調査隊に加わることを決意するレナ。しかしその調査の先に待っていたものは……という感じだ。

 

 

ブラック・スワン (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

ナタリー・ポートマンに対する不安はこの映画に由来している。いや、レオンのときは本当に可愛かったですよ。 

 

 

〇ここから先ネタバレになります
やはりストーリーのネタバレはミステリーの犯人を言ってしまうようなもので、作品の命を脅かす事になるのでやらない方がいいのではないかと最近は思っている。しかし、ここから先はどうしてもネタバレしないと書けないのであしからずご了承ください。(恐怖や謎を楽しみたい人は先に作品を観ることをおすすめします)
いわゆる全滅領域に入った調査隊は様々な現象に襲われる。この感じどこかで……とまた思い出したのが「裏世界ピクニック」だ。廃墟に探検に行き怪異現象に出会うと言う点ではこの二つ作品はどこかでインスパイアされたりしたりと言うことがあっても不思議ではない。(原作も同じ早川文庫から出ている)しかし「全滅領域」と「裏世界」はかなり似ていると同時に違う部分もある。その部分について書いてみたい。いろいろな点があるがその中からとりあえず、同じ要素としてはそれぞれが出会う「怪異現象」、似て非なる要素としては「百合要素」だが、それぞれに逆の要素もあると思う。

 

裏世界ピクニック コミック 1-4巻セット

裏世界ピクニック コミック 1-4巻セット

 

 

 

〇その一「怪異現象」
「アナイアレイションー全滅領域ー」も「裏世界ピクニック」も異界に入っていくと言う点では共通している。前者の方は「シマー」と呼ばれる光に包まれた領域、後者の方は「裏世界」あるいは「Ultra Bule World」と呼ばれる世界だが、そこでは空気もあり一応普通の物理法則も通用する世界だが、「シマー」のほうはあくまでこの宇宙と同じだが異なる力がやってきたという感じだ。「裏世界」のほうは似て非なる世界。逆に言えば似ているが異なるルールで出来上がっている世界という感じで、正に一見似ているように見えるがで本質的には全く別方向の世界設定だと思う。しかし、その世界の根本の設定は異なるが、物語の中盤に「人の形をした植物」が出てくるのを見たとき強いデジャブを感じだ。異世界の人間が空魚の右目でみるとそういう風に見えるシーンがあるのだ。日本には「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉があるが、空魚の見え方はこちらに属すると思う。しかし、レナ達一行がみた「人間の形をした植物」はあくまでも遺伝子の中に人間の形を形成する要素が混ざってしまったからと言う解釈である。そして逆に隊員の一人は自ら植物になる事を受け入れて手足から葉っぱが生えてくる。これはギリシャ神話のダフネの話を彷彿とさせたが、植物に変わる隊員はアポロンからの求愛を拒んでいるわけではなく、そもそも自傷癖があり、人間である事を常々やめたいと思っていたような人であった。このキャラクターには空魚と少し共通点がある。空魚も一人で異世界に行く理由は、現実世界に居場所がないからだ。

 

 

 

 

 

裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)
 

 

 

裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:宮澤 伊織
  • 発売日: 2019/12/19
  • メディア: 文庫
 

 

 

〇その二「百合要素」
レナ達一行が調査隊として行く前には男性の兵士ばかりが調査隊として派遣されていたよう(ここ確証ありません)だが、レナを含む五人は全て女性である。初めてレナが一緒に行く四人と出会う場面で、その中の一人の発言からその人物がLGBTである事が示唆されるが、レナ自身は結婚していたこともあるぐらいでそういう嗜好はなさそうである。しかし、五人が隊列を組んで進んでいくところを引いた絵としてみてみると、全員が女性というのはなぜだったのか?そこに明確な理由はなかったと思う。(原作には書いてあるのだろうか?)結論から言うとこっちの映画に百合要素はない。しかし、なぜ女性だけの編成にしたのか?には何かしら意味があったような気がする。劇中では、この調査隊に志願した四人はいずれも生きることに希望を持てない、自殺願望(人生を破壊したいという願望)のある女達という設定だった。この部分劇中で、隊長とレナが話し合うシーンがあるの間違いない。レナ自身も実は大学の同僚と浮気しており、それが旦那にばれている。そのため旦那(ケイン…俳優はオスカー・アイザックスターウォーズの789に出てきたパイロットでフォースのない人)に絶望されて、そのまま旦那は極秘任務で行方不明になって……というバックストーリーがあるのである意味レナも生きることに絶望しかけているのだろう。でも一縷の望みをかけて旦那との関係を修復したいと思っている。ここがレナだけが唯一シマーから帰還できた理由なのだろう。(その部分もラストシーンを見ると謎が残るが……)
一方、「裏世界ピクニック」では異世界に行く理由は、鳥子が愛する閏間五月を探すことだ。今のところその閏間五月がどうなったかは明らかにされていない。しかしその構図は現時点五月は不在ではあるが、空魚、鳥子、五月の百合的な三角関係になっている。

 

 

 

 

〇原作を読んでみたい
再び、最初の基本読書での紹介記事に戻るが、どうも原作はレナの一人称による語り(レポート?)の様だ。劇中でも最後にレナが隔離された部屋でインタビューを受けているが全てを見てきた後で語ると言う形式を取っているようである。つまり、映画だけ観ると収拾のつかない様に見えるシマーの拡大も、なんらかの結末を迎えるのかも知れない。しかし、「裏世界ピクニック」にも共通していることだが、恐怖というのは理解できないものに対する時最大になると思われるので、少しずつ解明が進むのは物語(異世界)の魅力を少しずつ減らすトレードオフと同義だろう。その部分をどのように書いているのかに注目したい。……それにしてもソノヤ・ミズノはどこに出てたのだろうか?

 

 

huyukiitoichi.hatenadiary.jp

全滅領域 サザーン・リーチ①
 

 

「ハッピー・デス・デイ」「同・2U」を観た

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○ホラー+青春ドラマ?
誰の記事だったか忘れたが、ネットでこの映画(とその続編)が推薦されていたので、観ようと思いNetflixで検索をしてみたが見つからなかった。コロナによる自粛生活の娯楽としてNetflixに加入したものの、この映画はNetflixにはなかった。なかなか一つのサービスで完結できないようにできているのだろう。映像によるエンターテインメント市場は大きいので、各社それぞれが囲い込みやアライアンスのような縄張りのなかで、ラインアップが決まっているんだと思う。仕方がないのAmazon prime Videoで観た。
しかし、これが本当に面白い映画で、久々に映画を見終わって晴れやかな気持ちになった。

 

 

 

ハッピー・デス・デイ 2U [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/06/24
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〇一作目のあらすじ(ネタバレしないように)
女子大生(ツリー……実は役の本当の名前がテレサ・ゲルブマンというのはWikipediaを見て初めて知った)が死ぬとある一日の朝にループして戻ってしまう。ループしないためには殺されない様にしないといけない。そこで、自分を殺す人間(犯人)を探すと言うのがストーリー。
こう言う「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の死ぬとループするというギミックを利用してミステリーを書いたように思える。(違うのだろうか?)オール・ユー・ニード・イズ・キルの方は、おそらくFPSシューティングゲームコール オブ デューティとかバトルフィールドとか)をやった感覚をそのまま映画のシナリオにしたんだろうなと思わせるものだったが、そのギミックだけを取り出してこういう映画に出来るんだというのは大変素晴らしいと思った。
主人公のツリーを演じているジェシカ・ローテも最初部屋に来たライアンに「Bitch」と呼ばれるが、これはオール・ユー・ニード・イズ・キルの「戦場の雌犬(Bitch)」のことを暗に指していると思われる。そのツリーが毎回目覚めるときに寝ている(実はライアンの)ベッド横の壁には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「ゼイリブ」のポスターが貼ってあるのである。このネタというか、設定は一作目ではあまり生きてこない気がするが、実は二作目では重要な意味があったと思う。

 

 

 

 

ゼイリブ 通常版 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2014/09/03
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〇二作目のあらすじ(ネタバレなしで)
二作目では”なぜツリーは死んでループするようになったか?”がちゃんと明かされる。それには実は一作目でほとんどからんでこないライアン(とその仲間)が重要な人物になっている。一作目を観終わってかなりスッキリしたが、二作目はそれ以上の感動が待っていると言うお得作である。それ以外にも一作目のストーリーの要素を本当に上手く回収(ここ重要)しており、これ最初から二作品セットで作るつもりで作ってたんじゃないかと思うほどだ。
実際にどうなのかはわからない。二作目の制作年が一作目の公開から二年たっているので二作目も全く一から作り直したのだと思う。それぞれの登場人物のビジュアルは再び二作目でその役をやるまでに二年もブランクがあったことになり、それにしては画面上で全く時間が経ってないように思えるのは見事としか言いようが無い。この感覚はバック・トゥ・ザ・フューチャーの二作目と三作目を観たときと同じものだ。

 

 

 

〇三作目は?
今のところ三作目を作っているという情報はない。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も三作目は新しいキャラクターや要素を入れてタイムトラベルものの面白さを極めてくれたが、是非こちらも三作目を作ってループものの面白さを極めてもらいたいと思う。二作目のラストでアレがあーなってとなると、こーなる展開もアリかなーとかいろいろ考えるが、きっとその予想を上回る展開にしないと二作目までの傑作さに水を差すことになりそうで、制作を考えておられる方々も苦労していることと思います。

 

〇その他(Wikipediaにあったネタ)
殺人鬼が仮面をかぶってるのだが、それが赤ん坊の顔をモチーフにした、大学のマスコットという設定なのだが、バースデイがキーワードのこの映画なので「赤ん坊」なのはそこから来てるのかと思ったが、Wikipediaによると最初は豚のマスクという案だったそうである。また、このマスクのデザインをしたのはあの「スクリーム」のマスクをデザインした人と同じだそうだ。どんな分野でもその道のプロになるとそういう仕事が来るというのは面白と思った。
主人公を演じたジェシカ・ローテが「ラ・ラ・ランド」に出ていたと言うことを知り、あれ、どの役の人だっけとWikipediaを調べて「エマ・ストーンのルームメイト三人に一人」と言うことがわかったが、その流れで、残りの二人うち一人が日系人ソノヤ・ミズノ)で、その人が出ている映画「アナイアレイション ー全滅領域ー」という映画がある事を知り、面白そうなので観てみようと思ってNetflixを検索したら今度はあったので次に見ようと思っている。

 

 

 

コロナ禍による自宅待機で思い出したこと

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○コロナ自粛でほぼ一ヶ月が過ぎた
4月の頭から在宅勤務となり一ヶ月以上が経過した。今年の一月にちょうど引越をして、以前住んでいたアパートからちょっと広いところに移ったのだが、本当に引っ越ししておいて良かったと思う。以前のブログにも書いたとおり引越後にかつてない腰痛に襲われたが、それを差し引いてもこの軟禁生活である。以前の生活スペースギリギリという狭いアパートでは耐えられたかどうかわからない。しかし、更に昔の暮らしを思い出してみると、自分はこれと似たような経験を何度かしてきているということを思い出した。

 

tokiwa-heizo.hatenablog.com

 

 

〇製造委託先工場での生産立会のための海外出張軟禁生活
現在勤めている会社は工場を持たないファブレスなので、製品の製造は全て製造委託先の工場で行われる。試作から量産というタイミングで製造に立ち会うため中国やベトナムの工場に出張するために数日から数週間、長いと一ヶ月以上ホテルに泊まって毎日工場へ往復する生活になる。そもそも街に出てても、言葉も通じないし売ってるものも違うため、基本的にはホテルに自主的に軟禁状態になる。去年の夏頃のブログにその辺のことを書いているが、今読み返してみるとそこそこ楽しんでいるように見える。
だが、滞在中は結局帰国する飛行機に乗る日のことを常に励みにしているようなところがあると思う。今回のコロナ禍では昨日39県で緊急事態宣言が解除され、それ以外の都府県でも「出口戦略」などの言葉が飛び交い始めているが、そういう軟禁生活の終わりを目標に今を耐えるしかないのだろう。いずれにしても、次に述べる前職での状況に比べたらこれでもかなりましであった。

 

tokiwa-heizo.hatenablog.com

 

〇自社工場での生産立会のための海外出張軟禁生活
前の職場では、自社工場で製造委託を受ける側だったこともあり、もっと厳しい軟禁生活を送っていた。その工場の中に出張者のための寮があったので、朝起きて工場に向かい夜また寮に帰るという日々が続くと、本当に工場の敷地の中に軟禁された状態になるのである。
寮の掃除や洗濯もやって貰えるし、食事も基本的に三食工場の食堂に行けば食べられるため、工場の敷地の外に出る必要がない。寮の一階の娯楽室には本棚があり、これまで出張できた人間が持ってきて読み終わった本や漫画、DVD(もちろん中国で売っている海賊版)が大量にあった。最近では工場から歩いていけるところにスタバも出来たらしいが、私が滞在していた頃は古い方の深圳空港まで一時間ぐらいかけて歩いて行ってコーヒーを飲んでいたが、それもそう頻繁に出来ないので、基本寮の部屋で自分で日本から持ってきたコーヒーを淹れながら娯楽室のアイテムを持ってきて休日をやり過ごしながら、やはり帰国の日を待っていた。しかし、この暮らしも次に述べる経験から比べたら幾分ましであった。

 ※当時の暮らしに関しては拙著に詳しく書いています。

家電OEMの会社で働くあなたのための参考書
 

 

陸の孤島海上での監禁生活
学生時代、私が所属していた学部では「航海実習」というものがあった。遠洋漁業ができる大型の漁船に乗って2ヶ月間過ごしたことがある。船の中は三交代制であり、乗組員は全て24時間のうち8時間は船内活動に従事しなければならない。基本的には『ワッチ』と言って操舵室から周囲360度を見張るのである。船乗りにとって何が怖いかといえば、外の船にぶつかることなのだ。衝突イコール沈没である。タイタニック号のように海に沈んでしまう事を避けるため、昼夜なく周囲の海を見張る。本当に暇である。太平洋の真ん中に来ると、周囲に本当に何もない。余談であるが、私はこの時初めて「太平洋」という名前の由来を知った。海面が湖のように全く波のない状態になることがあるのである。本当に不思議な体験であった。

 

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〇陸酔い
「天下太平」という言葉があるように、基本的に「太平洋」とは穏やかで平和な状態の海なのである。しかし、それとは逆に低気圧の中を通って、文字通り船がひっくり返るかと思うような荒れた海も経験した。
もともと、乗り物酔いしやすい体質なので陸を離れて一週間ぐらいは船酔いがひどく、トイレに吐きにいって、そのままトイレの床に寝たまま揺られていたこともある。しかし、2週間も過ぎると、船がひっくり返るような揺れかたをしても、びくともしなくなる。人間の適応力恐るべしと思った。逆に陸に上がったときに地面が揺れる感覚がありそれを「陸酔い」というと言うこともその時知った。

 

 

〇タンカーに乗った人
なぜこのような経験を思い出したかというと以下の記事を見たからである。

www.technologyreview.jp


この人はタンカーに乗客として乗るという基本何もすることがない本当に退屈な5週間を過ごすことになった訳だが、私の経験は2ヶ月だったが毎日やることがあり、寝ることすら義務だった。

 

〇現在の軟禁生活
そういうこれまでの経験を思い返すにつけ、いまのコロナ自粛軟禁生活はぜんぜんましである。いや、むしろ快適と言ってもいいぐらいである。リモートワークに適応しすぎて、会社に再び通勤しなければなくなったときに通勤電車などで「外酔い」を起こしそうなぐらいである。まあ、あの満員の通勤電車に慣れる事もかなり異常だったとは思うがそれもアフターコロナの世界から見れば過去になるといいなと思う。

「デス・ストランディング」をプレイした

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〇STAY HOME
コロナで「ステイホーム」が叫ばれる中、恐らくオタクと呼ばれる人たちにとっては、あらゆる活動がはかどってしょうがないと思うがいかがだろうか。「MITテクノロジーレビュー」の記事でフィル・コリンズの「In the air tonight」にあわせて「私は生涯をかけてこの時がくるのを待っていました」と歌う人の映像がTikTokで180万回(?)再生されたというような記事があった。実際にYouTubeでこの曲を聴いてみたけど最初は何を言っているのかよくわからなかった。いろいろ調べていくうちにこの曲自体の背景とか別の方向に脱線していきそうになったのでとりあえずそっちの追求はやめた。(興味のある方は曲名と歌詞で検索してみて下さい)要するに、家に引きこもっていたい人(オタクとかナードと呼ばれる人)は世界中にいて、「家にいろ」と言われた事の喜びを噛みしめて「私は生涯この時を……」ということのようだ。

 


Phil Collins - In the Air Tonight

 

〇絶滅の危機に瀕する人類
コロナウイルスのおかげで人類は絶滅することはないが、このゲームの世界はなにか大きな災害(?)が起きて、人々がバラバラになった北米大陸が舞台である。そこで主人公であるサムは「伝説の配達人」として依頼された荷物を配達する仕事をしている。ちょっと前のブログにも書いたが、ゲームの冒頭でいきなり「遺体」を「焼却場」に運ぶことを依頼されるという衝撃的な展開があり、それをゲーム内とはいえ徒歩で運ぶのである。途中BTと呼ばれる地底から湧き上がってくる亡者のようなものに襲われるわ、荷物配達中毒の盗賊に追っかけ回されるが、こちらにはほとんど対抗手段がなく逃げ回るだけなのである。その前にやっていた「DAYS GONE」に比べて、あまりにも辛い展開に心が折れて「十三機兵防衛圏」に行ったわけだが、その後改めて続けてみると、実はやればやるほど楽しくなっていくという中毒性の高いゲームだった。

 

 

 

 

 

 

〇エッセンシャル・ワーカー
コロナ禍によってにわかに脚光を浴びた言葉として「エッセンシャル・ワーカー」というものがあるが、正にこのゲームの主人公はエッセンシャルワーカーの一つとされる「配達人」であり、人々はそれぞれシェルターの中に引きこもって暮らしている。配達に行ってもホログラムでしか応対しないなど、まさに今の世相を先取りした展開だ。この世界にはウイルスが蔓延しているわけではないが「時雨」という浴びると、急速に浴びたものの時間を奪うという恐ろしい雨が頻繁に降っており、その雨や先ほどのBTという化け物を避けるためにシェルターに住んでいるという設定のようだ。そんな世界のなかで、人々をつなぐ配達人である主人公は正に必要かつ欠くべからざる存在である。このゲームを企画した小島監督が、まさかこのような事態を想定していたわけではないと思うが、やはり稀代のクリエーターは否応なく時代とシンクロしてしまうものなのだろう。

 

jinjibu.jp

 

〇ストーリーについて
恐らく、きちんとエンディングまでたどり着いて全ての物語を観終わったと思うのだが、残念ながらストーリーについては語ることが出来ない。それはやった人間の数だけある、というようなものではなくて、確かな演出に基づいて一つのドラマが展開されて、終結を迎えるのだがあまりに独特な世界設定と解釈が過ぎて、何を語っていいのかわからないのが正直なところだ。MGSVの時も途中から「寄声虫」という設定が出てきて、ちょっとついて行けなくなった事があったが、今回のゲームは正にそういう「設定」が前面にでており、そこをどう受け止めるかでストーリーについては印象が分かれるだろう。有名な俳優(ノーマン・リーダス、レア・セドゥ、マッツ・ミケルセンなど)や映画監督(ギレルモ・デル・トロニコラス・ウィンディング・レフン)が多数出演しており豪華な顔ぶれを堪能しながら小島監督の作った変な世界を存分に味わうことが出来る。

 

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〇やり終えた感想など
最初にも書いたように、このゲーム、進めていくと困難を乗り越えて荷物を配達することがもたらす満足感が、それ以外のゲームでは味わえない不思議な快感を与えてくれる。「DAYS GONE」でも、誰かに何かを届けるというミッションはいくつかあったと思うが、それをすることでゲーム内でのイベントが進みストーリーが展開していくために必要なアイテムだった。ところが、このゲームではサムが運ぶものは確かにゲームのストーリーを進める上で必要なアイテム(フラグ)というものもあるが、そうでない誰がそれを運んでもいいアイテムというものが存在する。また、いろいろな登場人物がなぜか落としてしまったアイテムというものもフィールド上に散らばっている。それを届けるかどうかはプレイヤー次第だ。そしてそれを届けるとNPCから感謝されるが、ストーリーの進行上必須というわけではない。また、ゲーム内のフィールドにある「国道」や「セーフハウス」などの設備は、自分だけでなく、現実のネットワーク(ゲーム内のカイラル通信ではなく)でつながった他のプレイヤーに感謝されるのである。このようにゲーム内の行動がゲーム世界を根本から変えていくという展開のゲームは希有であると思う。

 

 

【PS4】DEATH STRANDING

【PS4】DEATH STRANDING

  • 発売日: 2019/11/08
  • メディア: Video Game
 

 

 

〇再びステイホーム
この「公式に引きこもりが推奨される世界」が始まって、一旦は処分したテレビを購入した。そのテレビにNetflixボタンが着いていたので、その誘導にはまり契約してしまった。実はNetflixに入ったら見たいドラマがあったのだ。それは「ストレンジャー・シングス〜未知の世界〜」である。本当に面白いので、内容と感想に関しては後日書きたいと思うが、ドラマの舞台が80年代であり、正に「後ろ向きな興味」にドンピシャなのである。先日シーズン3の途中まで観たが、その中でヒロインがブレインダイブのようなことをした際に「ビーチ」に行くシーンがあった。これがただのシンクロニシティなのか、どこかでこのゲームの影響を受けたのかはわからないが、やはり優秀なクリエーターが作るものはどこかで通じ合っているのかもと思った。

 

www.netflix.com

「十三機兵防衛圏」をプレイした

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◯一応エンド
在宅勤務になって通勤時間がなくなりそれを別の時間に充てることが出来るようになった。私は常々通勤時間は「地球上でもっとも貴重なリソース」である時間の無駄遣いの筆頭だと考えていたので、COVID-19による在宅勤務での通勤時間の消滅は本当に歓迎すべき事だと思う。そのおかげでゲームに充てる時間が増えたために、一応「十三機防衛圏」もエンドまで進めることが出来た。まだ、おまけの戦闘には手を着けていないが、ネットで見る限り、それをクリアしたところで何か別のサイドシナリオに行けるわけでもなさそうなので恐らくこの先もプレイしないだろう。

 

 

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game
 

 

 

〇先に感想など
ネタバレを含むいろいろを書く前に、全体をプレイし終えた感想を書くことにする。2Dベースで作られた(でも本当は3D)グラフィックは本当に美麗で、ドット絵世代というか、2Dベースのゲームからずっとやってきた人間からみると究極進化形だと思う。

淡い水彩のようなタッチで統一された世界にどっぷりと浸ることが出来て、なおかつ基本的に80年代の世界観(後ろ向きな興味に100%マッチ!)なのでちりばめられた小ネタ一つ一つが心地よい。久々にプレイしている時間が「DAYS GONE」のように殺伐としたものにならず、心温まる時間であった。

 

 

 

 

〇内容について(ネタバレになります)
「NieR:Automata」のように、地球上の人類はとうの昔に滅んでしまっている、恐ろしく遠い未来の話で、人類はその子孫を地球ではない星に移住させることで生き延びさせるための計画を立てた。しかし、このままの歴史の延長線上で文明を持ち込むと当然ながら、また滅びの道をたどることになると考えた科学者達は、一体どの時点まで歴史を巻き戻してから始めたらいいのかと考えて、シミュレーションのために時代を40年ごとに区切りそれぞれを仮想世界として構築した。

この仮想世界はまさに映画「マトリックス」と同じで脳内にしか存在しない。その事を利用してそれぞれの異なる時代(仮想世界)を行き来できるように「(見せかけの)タイムトラベル」ができる。実際にはタイムトラベルしていないので当然ながらタイムパラドックスは起きない。

登場人物達の一番の問題は、このシミュレーションのなかに、タワーディフェンスゲームのシステムを流用して組み込んだソフトウェアエンジニアがいて、その結果、このシミュレーションをクリアするためには、その仕組みを利用してシステムに勝つ必要があるということだ。

 

 

 

 

〇ある種の夢オチ
映画「マトリックス」では、マトリックスから出てリアルな「世界」に来てから、再度マトリックス世界に入って戦う部分が素晴らしいアイディアだったが、このゲームは最後のオチとして使われているため、培養器のようなカプセルから出て、5年後に再度仮想世界へ戻る部分は後日談的な扱いになっている。……あれ?ここまで書いてみてふと思ったが、おまけ的戦闘(WAVE)がまだあるけど、アレはそういう一旦外の世界を知った上で戦うという設定なのだろうか?
ゲーム内容が様々な映画や時代のオマージュにあふれており、それらを上手く組み合わせて極上のストーリーに組み上げられている。このゲームのシナリオを考えた人は本当に凄いと思う。そしてなにより「後ろ向きに前に進む興味」の今の私にとって”ド”ストライクなストーリーであった。

 

 

マトリックス (字幕版)

マトリックス (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

〇その後
このゲームを終わったあと何をプレイしようか考えた。とりあえず高い金出して買ったしなーと思って「デス・ストランディング」を立ち上げてやってみたら、最初はただ単にお使い(配達)をするだけの辛いゲームと思っていたが、それはあまりに「DAYS GONE」にはまりすぎていたために、そのギャップに拒否反応が出ていただけだということがわかった。あるイベントを過ぎたところで俄然面白くなってきた。やっぱり小島監督すげぇわと思わざるを得ない展開になってはまっている。