常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「ハンガーゲーム」を観た

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〇今更ですが
2013年ぐらいに制作されて大ヒット、その後2、3と制作されていずれも大ヒットした作品である。なぜ今頃になって観たのか?一つ目の理由はこの本である。

工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素

 

工学的ストーリー創作入門

工学的ストーリー創作入門

 

 


物理学的ストーリー創作入門 売れる物語に働く6 つの力

 

 

この本の推奨する物語の作り方には、6つのコア要素(ここら辺はその前の本「工学的ストーリー創作入門 売れる物語を書くために必要な6つの要素」に詳しく書かれている)があって、その中の一つの「構成」と言う要素をこのストーリー(この本では小説版を題材にしている)は大変正しく実現していることがベストセラーになって映画化までされた理由であると書いてあった。
またしても物語の書き方本を読んだわけだが、今回はそちらの話は割愛する。別の機会にしっかりと書きたいと考えている。結論から言うと、今回の二冊(実は更にもう一冊「物語を書く人のための推敲入門」という本があって、それを最初に手に取って読み始めたら、先述の6つのコア要素に関する記述があり、なんのこっちゃ?と思って巻末の解説を読むと実はこの本の前に同じ著者が書いている本が2冊ある事がわかったので、それを読んだというのが顛末である。なおさらにもう一冊続巻が出る予定だそうである)を読んで、素晴らしく役に立った。その事はいずれ別の機会に書くとして、改めて「ハンガーゲーム(映画)」について述べる。

 

ハンガーゲーム (字幕版)

ハンガーゲーム (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

〇J・ローありき?
この映画の主演女優は言わずと知れたジェニファー・ローレンスだ。私は最初に観たときは真っ青な色をしていて、何にでも変身できる超能力者の役だった(X-MENですな)が、この映画では初っぱなから大変抑圧された世界で健気に生きる少女という感じだった。実は役としてはカットニスは16歳だが、この時J・ローは既に21歳だったので、ちょっと育ちすぎの感もある。しかし、この映画やはり主演女優にこの人を持ってきたことも、大ヒットした理由だと思う。
東京アラートも解除されて、外に出る機会が増えてきて思うことだが、街角を行き交う若い女性の肌の色にドキドキと言うか、ギクッとするというか、何かこういちいち目に刺さるのである。恋愛ゲームや少年漫画なら幼なじみに高校生ぐらいになって再会し「こいつ、こんなに可愛いかったっけ……?」とフラグが立ってしまう様な感じである。
その理由は恐らく簡単で、みんなコロナ自粛で家に籠もっていたため、日に焼けていないのだろう。季節の変化に同期しておらず、肌がなまめかしく白いのである。いわば全員が深窓の令嬢のような状態なのだと思う。
この映画の中のジェニファー・ローレンスも最初は野山を駆けまわって弓矢で獣を狩って食料を集めるようなことをしているため、日に焼けて薄汚れているのだが、ハンガーゲームに代表として「選ばれて」キャピタルに着いてからは、専用のスタイリストなどに磨き上げられ、美しく、たくましい女性に変身する。
得意技は故郷でも鍛えてきた弓矢なので、劇中も弓を構えるシーンが出てくるが、その際に弓を引き絞ったときツルが唇に触れてわずかに歪むのだが、その絵にドキドキと言うかガーン!というか引きつけられるのである。(……私だけ?)

 

X-MEN:ファースト・ジェネレーション (字幕版)

X-MEN:ファースト・ジェネレーション (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

〇バトルロワイヤルもの
日本でかつて「バトルロワイヤル」という小説があり、もともと何かの賞への応募作だったと思うが、審査員のだれかがあまりの不道徳な内容に怒ったと言う曰く付きの作品で、賞こそ取らなかったがその後出版され、映画化され続編も作られている。その映画の中にも弓矢を武器とする少女がいた。演じていたのは栗山千明である。その後、クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」ではセーラー服を着ながら凶悪な顔をしてトゲの着いた鉄球を鎖分銅にして、ユマ・サーマンと渡り合うと言う役をやっていた。
しかし、映画「バトルロワイヤル」での栗山千明は、同じクラスの男子に思いを寄せる一途な少女の役であり、その弓(弓道部という設定!)の技をそのために使う。その姿は今回の「ハンガーゲーム」でジェニファー・ローレンス演じるところのカットニス・エヴァディーンとも通じる部分がある気がする。

 

バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
 

 

バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1

バトル・ロワイアル 上 幻冬舎文庫 た 18-1

 

 

 

バトル・ロワイアル 下   幻冬舎文庫 た 18-2

バトル・ロワイアル 下 幻冬舎文庫 た 18-2

 

 

 

〇bellum omnium contra omnes
今は、参加者全員で殺し合って、最後の一人になれば勝ちというゲームがいろいろある。私がかつて紹介した「PUBG」や「FORTNITE」「APEX」「CoD」までもが参入しているようだ。コロナ自粛が始まる前に入ったゲームセンターで「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを題材にしたアーケードゲームがあったので試しにプレーしてみたが、何とこれもバトルロワイヤル形式のゲームだったのには驚いた。
これらのゲームをやっている人間にはこの映画に出てくる24人のような悲壮感は微塵もない。それはもちろんビデオゲームなんだから当たり前だが、この「自分以外みんな敵」という設定というか前提がこのコロナ時代を先取りしており実に興味深い。電車に乗っていると、乗客全員がお互いを疑わしそうに振る舞っているのが感じられるが、まさに「自分以外みんなコロナ感染者」と見なしているような状況である。
「ハンガーゲーム」の世界の設定も貧富の差が完全なる格差社会、管理する側とされる側に分かれた、管理支配される側に取ってみれば暗黒の世界だ。しかも、その中で更に貧しいもの同士が殺し合いをして、それが金持ち管理者側の娯楽になっているという狂った状況が物語の前提である。しかしそれも物語の中の世界だけではなくなってきている。
コロナ禍の世界、現在の世界においても、その貧富の差というものが命の差になっているという現実がある。アメリカでは黒人が白人の二倍多く死んでいるとのことだし、ブラジルでは、ファベーラという貧民街で感染が爆発的に増えており、治療も受けられずに死んでいるらしい。

 

tokiwa-heizo.hatenablog.com

 

Avalon
先週一週間会社の仕事で横浜の倉庫まで毎朝井の頭線東横線の電車を乗り継いで通った。その際、ヘッドホンで聴いていたのは映画「Avalon」のサントラである。川井憲次先生の曲は疲れた身体を癒やしてくれる。しかもこのコロナ禍のもとで先ほども書いたように電車の中も戦場のような殺伐とした空間である。そんななかでこのサントラを聴くと、映画の主人公”アッシュ”が路面電車で毎日オンラインゲーム「Avalon」をするために通う時の心情が察せられて大変心に滲みた。帰りの電車で夕暮れ時の武蔵小杉当たりのビル街の空疎な感じはまるで画像処理ソフト「Domino」でアフターエフェクトをかけたかのようにざらついた感触を感じることが出来た。
映画「Avalon」では「クリアできそうでクリアできないゲーム」と称された「現実」を生きる我々は正に今「ハンガーゲーム」のプレイヤーになりつつあるのかも知れない。

 

アヴァロン

アヴァロン

  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: Prime Video