常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

コロナ禍による自宅待機で思い出したこと

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○コロナ自粛でほぼ一ヶ月が過ぎた
4月の頭から在宅勤務となり一ヶ月以上が経過した。今年の一月にちょうど引越をして、以前住んでいたアパートからちょっと広いところに移ったのだが、本当に引っ越ししておいて良かったと思う。以前のブログにも書いたとおり引越後にかつてない腰痛に襲われたが、それを差し引いてもこの軟禁生活である。以前の生活スペースギリギリという狭いアパートでは耐えられたかどうかわからない。しかし、更に昔の暮らしを思い出してみると、自分はこれと似たような経験を何度かしてきているということを思い出した。

 

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〇製造委託先工場での生産立会のための海外出張軟禁生活
現在勤めている会社は工場を持たないファブレスなので、製品の製造は全て製造委託先の工場で行われる。試作から量産というタイミングで製造に立ち会うため中国やベトナムの工場に出張するために数日から数週間、長いと一ヶ月以上ホテルに泊まって毎日工場へ往復する生活になる。そもそも街に出てても、言葉も通じないし売ってるものも違うため、基本的にはホテルに自主的に軟禁状態になる。去年の夏頃のブログにその辺のことを書いているが、今読み返してみるとそこそこ楽しんでいるように見える。
だが、滞在中は結局帰国する飛行機に乗る日のことを常に励みにしているようなところがあると思う。今回のコロナ禍では昨日39県で緊急事態宣言が解除され、それ以外の都府県でも「出口戦略」などの言葉が飛び交い始めているが、そういう軟禁生活の終わりを目標に今を耐えるしかないのだろう。いずれにしても、次に述べる前職での状況に比べたらこれでもかなりましであった。

 

tokiwa-heizo.hatenablog.com

 

〇自社工場での生産立会のための海外出張軟禁生活
前の職場では、自社工場で製造委託を受ける側だったこともあり、もっと厳しい軟禁生活を送っていた。その工場の中に出張者のための寮があったので、朝起きて工場に向かい夜また寮に帰るという日々が続くと、本当に工場の敷地の中に軟禁された状態になるのである。
寮の掃除や洗濯もやって貰えるし、食事も基本的に三食工場の食堂に行けば食べられるため、工場の敷地の外に出る必要がない。寮の一階の娯楽室には本棚があり、これまで出張できた人間が持ってきて読み終わった本や漫画、DVD(もちろん中国で売っている海賊版)が大量にあった。最近では工場から歩いていけるところにスタバも出来たらしいが、私が滞在していた頃は古い方の深圳空港まで一時間ぐらいかけて歩いて行ってコーヒーを飲んでいたが、それもそう頻繁に出来ないので、基本寮の部屋で自分で日本から持ってきたコーヒーを淹れながら娯楽室のアイテムを持ってきて休日をやり過ごしながら、やはり帰国の日を待っていた。しかし、この暮らしも次に述べる経験から比べたら幾分ましであった。

 ※当時の暮らしに関しては拙著に詳しく書いています。

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陸の孤島海上での監禁生活
学生時代、私が所属していた学部では「航海実習」というものがあった。遠洋漁業ができる大型の漁船に乗って2ヶ月間過ごしたことがある。船の中は三交代制であり、乗組員は全て24時間のうち8時間は船内活動に従事しなければならない。基本的には『ワッチ』と言って操舵室から周囲360度を見張るのである。船乗りにとって何が怖いかといえば、外の船にぶつかることなのだ。衝突イコール沈没である。タイタニック号のように海に沈んでしまう事を避けるため、昼夜なく周囲の海を見張る。本当に暇である。太平洋の真ん中に来ると、周囲に本当に何もない。余談であるが、私はこの時初めて「太平洋」という名前の由来を知った。海面が湖のように全く波のない状態になることがあるのである。本当に不思議な体験であった。

 

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〇陸酔い
「天下太平」という言葉があるように、基本的に「太平洋」とは穏やかで平和な状態の海なのである。しかし、それとは逆に低気圧の中を通って、文字通り船がひっくり返るかと思うような荒れた海も経験した。
もともと、乗り物酔いしやすい体質なので陸を離れて一週間ぐらいは船酔いがひどく、トイレに吐きにいって、そのままトイレの床に寝たまま揺られていたこともある。しかし、2週間も過ぎると、船がひっくり返るような揺れかたをしても、びくともしなくなる。人間の適応力恐るべしと思った。逆に陸に上がったときに地面が揺れる感覚がありそれを「陸酔い」というと言うこともその時知った。

 

 

〇タンカーに乗った人
なぜこのような経験を思い出したかというと以下の記事を見たからである。

www.technologyreview.jp


この人はタンカーに乗客として乗るという基本何もすることがない本当に退屈な5週間を過ごすことになった訳だが、私の経験は2ヶ月だったが毎日やることがあり、寝ることすら義務だった。

 

〇現在の軟禁生活
そういうこれまでの経験を思い返すにつけ、いまのコロナ自粛軟禁生活はぜんぜんましである。いや、むしろ快適と言ってもいいぐらいである。リモートワークに適応しすぎて、会社に再び通勤しなければなくなったときに通勤電車などで「外酔い」を起こしそうなぐらいである。まあ、あの満員の通勤電車に慣れる事もかなり異常だったとは思うがそれもアフターコロナの世界から見れば過去になるといいなと思う。