今年も既に12月
半年ほど前に「今年中に佐藤正午の本を全部読む!(フンスっ!)」と鼻息を荒くしていたのだが、気がつけばもう12月も第一周目が終わろうとしている。とてもじゃないが読みきれないと早々に諦めた。来年も継続して気長に残りの本の読書を続けるつもりである。と、思うが早いか表題の本に手を出してしまった。随分前にどこかの書評で絶賛されており、これは読まねばなるまいと思って秋葉原の書泉ブックタワーで入手したのがやはり半年ぐらい前のことだ。ようやく読み始めたが、毎晩寝る前のちびちび読書なので、なかなか進まない。やっと全体の5分の4ぐらいまで来た。おそらく既に読み始めてから3週間は経っていると思う。しかし、ちびちびでも全然気にならないぐらい引っ張り込まれる世界である。つまり面白い話なのだ。
タルブーシュってなんだ?
この本の話は一種の歴史改変もので、エジプトが舞台なのだが別の世界線になったエジプトである。その分岐フラグは何かというと、精霊(ジン)と魔法の出現である。その魔法によって産業化や文明化とは違う方向に超進化したエジプトが舞台で、主人公は魔術省に勤めるエージェント、ファトマ(美人、いつもスーツ着用)である。恋人のシティ、相棒のハディアといっしょに、突如蘇った伝説の魔術師アル=ジャーヒズが起こす事件を解決するため捜査に乗り出す……というのがあらすじだ。
19世紀後半のエジプトが舞台なので、正直読むだけで情景が目に浮かぶという訳にはいかない。登場人物が被っている「タルブーシュ」という帽子もそのエキゾチックな名前の響きはいいのだが、一体どんな帽子を被っているのかを想像することができず、帽子の部分はぼやけたままだ。ちなみにネットで調べたところタルブーシュというのはエジプトでの呼び名で、普通はトルコ帽といったほうがわかりやすいようだ。円錐形を途中でカットしたような、若干上側がすぼまった円筒形といったほうがいいかもしれないが、そんな形状の帽子である。インディ・ジョーンズの3作目のエジプトが舞台のシーンなんかでは出てたような気がする。
それ以外にも字面から想像するしかないような言葉がたくさん出てくる。エジプトは白いアフリカだが、当然黒人や褐色の肌の民族が色々出ているのだが、何々人と言われても残念ながらそれがどんな容貌なのかは全然わからない。そのへんは放っておいてどんどん先に読み進めるしかない。逆にジンの描写はそもそもこの世に存在しないものなので、割と丁寧に描写されており、それをじっくり読んで想像するのは大変楽しい。
ネビュラ賞他全部で4冠に輝く
全部書くとネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞の4賞であるのだが、私の知っている賞は最初の2つだけで残りの2つは初めて聞いた気がする。SFを読むときはヒューゴー賞とネビュラ賞を受賞してる作品はハズレがないと個人的には思っている。少しぐらい自分の好みに合わなくても、読み応えのほうがまさる作品ばかりだと思っているので、とりあえず本屋でSFを買うときはこの2つを受賞している作品を買うことにしているが、この作品はネビュラ賞だけでヒューゴー賞は取っていない。そもそもこの2つの賞がどのようなものなのかはよくわかっていなかったので、この機会にWikipediaで調べてみた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B4%E3%83%BC%E8%B3%9E
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%A9%E8%B3%9E
この賞の2つの大きな違いはヒューゴー賞がファン投票、つまり一般の人によって選ばれているのに対して、ネビュラ賞は審査員が選出しているというところが大きな違いであることがわかった。この「精霊を統べる者」は審査員(専門家)には選ばれたが、一般人の投票では選ばれなかったということだ。ちょっと意外である。
ローカス賞はファンタジーに与えられる賞なので、これもこの本にはふさわしいだろう。SFかと言われるとちょっと違うなと思う。何と言っても魔術が出ているのでファンタジーと呼ぶほうが良いと思う。
残りのイグナイト賞、コンプトン・クルック賞についてもちょっと調べてみたが、Wikipediaには項目がなかった。あまり有名ではない賞かもしれないが、いずれにしても4冠というのは並じゃないと思う。それにふさわしいだけの面白さを持っている本だと思う。
今年最後のブログ
多分この文章が今年最後のブログになると思う。はてなブログでもうすぐ通算200本なのだが、残念ながら今年は到達できなかった。来年には必ず超えていると思うが、それよりも一本一本を大事に書くほうがいいことなのかもしれないと思う今日この頃である。個人的にも世界的にも、来年が今年より少しでも良い年になると良いなと真剣に思います。 みなさま良いお年をお迎えください。

