
主人公は復讐の女剣士
前作である「Ghost of Tsushima」(以下GoT)は一応クリアして、さらにDLCである「Legends〜冥人奇譚」もやったので、発売前からあのリアル侍ゲームの続編「Ghost of Yotei」(以下GoY)が企画されているということで、これは是非とも体験せねばと思っていた。しかし、以前のブログにも書いたように、レトロゲームにハマって、やはりゲームはパッケージも含めてゲーム体験だった世代なので、これからはできるだけダウンロード版ではなくパッケージ版を買うようにしようと思っていた。そこで、発売後にブックオフやハードオフで買うチャンスを伺っていたのだが、なかなか出会わない上に、値段も下がらない。
需要と供給の関係で市場に出回る数が少なければそうなると思うが、やはりこのゲームを選ぶのはある程度年齢のいった私のようなオールドゲーマーではないかと思うので、やはりパッケージ版を選んで買うより、やりたい、やれるというタイミングでダウンロードしたほうが手っ取り早いと考える人が多かったのではないだろうか。ただ、後にも書いているが、主人公のビジュアルが今ひとつキャッチーではないため、それほど販売数も伸びていないからということもあり得る。おそらく両方の要因から、パッケージ版の市場に出回る数が減少しているのではないかと推察する。
アクション自体は前作のものとほぼ同じ
ゲーム内の操作で行えるアクションはほぼGoTと同じだったので、スムーズにゲームプレイをすることができた。前作をやったのがかなり前なので正確な比較はできないが、今作GoYでは剣(片手、両手)、槍、鎖鎌、大太刀が使える。それぞれが厳密にじゃんけんの関係になっているわけではないが、特効のある武器があって、相手によってはそれに瞬時に切り替える必要がある。また、敵のほうもずっと同じ武器ではないので、向こうが切り替えたタイミングで、こちらもそれに適した武器にチェンジする必要がある。それが、後半になるにつれて敵も頻繁に切り替えるようになったり、その切り替える武器の種類が増えたりする。それがスムーズに切り替えられて、なおかつ敵の攻撃をL1のパリイではじいたり、〇とレバーでよけたりがきれいに決まると、達人的ムーブを味わうことができる。
個人的な感想になるが、私のやっている武道である杖道の元になっている武術である「神道夢想流杖術」は宮本武蔵の二刀流剣術に対抗するために生み出された武術なので、型の中で二刀を扱うことがある。型で行うのは、木刀の太刀と小太刀の二刀なので、真剣よりも全然軽いが、それでも、両手に剣を持って振り回すのはかなりの丹力がいると感じる。
このゲームの中では、二刀流の剣が、両方とも太刀であることにはちょっと違和感を感じるが、アクションとしては、片方を逆手に持って風車のように回転する動きは大変カッコいい。刀(片刃)ではなく剣(両刃)の中国武術的な動きな気もするが、二刀流だと、長物(槍や薙刀)に対して有利になるという設定も考え方によっては理にかなっている(片方で捌いて片方で攻めるというような二刀流の利がある)気もするのでヨシとする。
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ウエスタンの味わい
武芸百般の女剣士が活躍するという時点でファンタジーではあるが、なんとなくタランティーノ監督の「ジャンゴ」を思い出す感じで、それが成り立つために必要なモノをかき集めることで帳尻を合わせてる気がする。前作でもそうだったが、中ボス(?)的な敵キャラと一騎撃ちをする時の演出が、お互い静かに見つめあって、剣を抜き構えてから「いざ勝負」という感じで斬り合いアクションに移行する。その時のアップの顔、煽り方などが毎回同じなのだが、その演出が入ることで、こっちもコントローラーを握り直して、画面を見つめるきっかけになる。
また、サブクエスト的なエピソードは、割と日本文化を理解したような感じはするが、前述の武芸者ムーブを教えてくれる師匠が各地にいる。その師匠たちとのやりとりが、微妙に子弟関係故の上下がない台詞回しになっている。外国の人には、日本的な子弟関係がわかっているようでわかってない部分があるんじゃないかと思った。製作はサッカーパンチというスタジオだが、プレイステーションスタジオも関係しているはずなので、監修は受けているとは思うが、シナリオを書いた方の意向を優先したのだろう。
ウエスタンのゲームといえば「レッドデッドリデンプション」があるが、こちらの製造元はロックスターゲームズだ。こちらのゲームについては、GOYEの2を購入したが、しばらくやったところでやめてしまった。理由はいろいろあると思うが、ウエスタン的なお約束というのが理解できなかったからというのが大きいかもしれない。侍ゲームだと、もちろん前作GoTを遊んでいたからというのもあるが、お約束がプレイするこちら側にあるので、なんとなく行動する方向が分かる(それ以外にも、製作者側の配慮によって、前作よりかなり遊びやすくなっている)が、西部開拓時代の終わりのアメリカにおけるお約束というのが自分の中にないのが、とっつきにくくしていると思う。そう考えてみると、ウエスタンの味わいを感じるというのもどこまで?というきもするが……
松前藩とアイヌ
このゲームの敵方である羊蹄六人衆とは、「斉藤」を首領として、その息子たちである「蜘蛛」と「龍」、忍びの「狐」、さらに家来で鬼面隊を率いる「鬼」と「蛇」のことである。さらにそれぞれの下に家来や強制的に戦わされている人々などがおり、それが松前藩と対峙している。アイヌはどちらとも組まず、蝦夷地で平和に暮らしたいと思っているだけというような存在となっている。そんな設定なので、この三つの勢力が蝦夷地の中でせめぎ合っているわけではなく、その中で戦っているのは斎藤勢と松前勢の二大勢力ということになる。斎藤は本土での戦(いくさ)に敗れて、蝦夷地へ流れてきて、そこで一旗揚げようと考えているが、蝦夷地を開放するとか、独立するとかまでは考えていないように見える。なんとなくだが、幕末の幕府軍VS維新軍の図式に影響されている気がする。斎藤は幕府軍の残党的な位置づけで想定されているのではないだろうか。
野暮を承知で指摘するが、現実には斎藤勢(羊蹄六人衆)はおらず、蝦夷地で対立する関係にあったのは松前藩とアイヌである。江戸時代には薩摩の琉球支配のように蝦夷地は松前藩によるアイヌ搾取があり、その辺の話が「ゴールデンカムイ」では強いアイヌ、ただ搾取され追いやられた少数民族というような描き方ではなくいきいきと冒険する姿を描いたことでアイヌの存在感がかなり強まったと思う。このゲームでも、篤の味方になってくれるのは確かだが、恐らく製作陣の考えからあまり重要な役割を与えられてはいない感じだった。
篤(あつ)姉さん
Youtubeのショート動画でも主人公のビジュアルが違ったらもっと売れていたと言っているものもあったが、その方向性が漫画的な美少女(スマホゲームに出てくるようなトゥーンレンダリングの絵柄)を指していたので、それはやっぱり違うと思った。前作でもあったイベントに、野外に突然現れる露天風呂に入ると、体力ゲージがちょっと増えると言う効果があるのだが、今回は……野郎ども!女性主人公(の入浴シーン)だぞ、ヤッホー!という感じもあまりしない。古傷が身体中にある筋肉質の女性が静かに風呂に入って「思うこと…」という選択肢を選ぶと、やはり前作のGoTであったと同じように戦いの中で、ほっと一息付ける瞬間である。それで体力ゲージが増えるというのは非常に理にかなっている(?)と感じる。
序盤は、これも前作のGoTでの主人公のイメージである侍=男というのが残っていたからか、主人公(=操作キャラクター)に何となく違和感を持ちながら進めてきたが、どの辺まで進めたころかちょっと覚えていないが、気づいたら途中から違和感はなくなり、むしろ主人公と一体化していき篤イケてる!美人じゃんよ!という感覚になっていた。最後までやって改めてアツ姐さんを見ると、かなりうっすら柴咲◯ウに似てると思った。
また、敵の首領である斎藤が篤のことを「オオカミの姫」と呼ぶのは、ゲームの途中でオオカミを助けるイベントがたびたびあり(それによって「一騎打ち」の際にオオカミが助力してくれるようになる)、オオカミと絆を深めていくことと、親を殺された篤とその弟の十兵衛が、復讐のため剣を取り負け犬ではなくそれぞれが一匹オオカミとして戦いの日々を生きることを選んだということからきている…… のだと思うが、「もののけ姫」のなかでアシタカがサンを「ヤマイヌの姫」というのからきている感も少しあると思う。ただ、篤のオオカミ感というのはそこもあまり表立ってはフィーチャーされておらず、なぜ斎藤が要所要所で篤のことを「オオカミの姫」と呼ぶのかがちょっと謎な感じはする。この辺はゲーム制作側が、あくまでプレイヤーのイメージでプレイしてほしいという配慮で、あえてそれを前面に出すイメージは減らしているのかなと思った。
前作との繋がり
ゲームの終盤、あるクエストでこのゲームと前作の繋がりを暗示させる部分があった。蒙古襲来と松島藩による蝦夷地支配はかなり時間的にずれている(正確にはわからないが、主人公は関ヶ原で戦ったのち、蝦夷地に帰ってきている)ので前作と今作の時代背景には数百年の隔たりがあるのだが、何となくあの後、ここで暮らしていたのかと思うと感慨深いものがあった。
この時間の隔たりを超えて響きあう感覚は、「ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム」にあったものと似ているが、あちらは、それがストーリーにとってかなり大きな要素であったのに対して、GoYのなかでのGoTというのは、あくまでおまけ的な要素になっているのが残念と言えば残念だった。