常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「英語独習法」を読んだ

西荻窪駅のマイロードにあるお店の前にあった樽

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www.nhk.or.jp

〇異色の大河ドラマ
本題に入る前に少し今考えている事を書かせていただきたい。
NHK大河ドラマ麒麟がくる」が明日最終回を迎えそうだ。年末、12月中に最終回が来ない大河ドラマは未だかつて無かったのではないか。日曜日の夜八時にテレビの前に座って大河ドラマを見るようになったのは、30を過ぎてからだったように思う。
今回は戦国時代のスーパースターである織田信長豊臣秀吉徳川家康などが出ており、物語的にもよく知られた時代を、あえて三日天下とか裏切り者てきなネガティブなイメージの強い明智光秀(十兵衛)を主人公にして、彼の視点からの信長と周辺の人間模様を描いている。ドラマを見ている我々は、十兵衛が最終的には信長を殺して、木下藤吉郎秀吉に討たれることを知っているので、必然的に我々の視点は「なぜ十兵衛はその結末を選ぶのか?」になる。
その結末を観ることが出来る最終回が楽しみだが、私が今回の大河で一番楽しんだのは佐々木蔵之介演じる木下藤吉郎こと後の豊臣秀吉の役どころである。「秀吉」を主人公にした大河ドラマもあって、竹中直人の当たり役と言うことになっているが、それとも違う、「独眼竜政宗」の勝新太郎演じた秀吉とも違うが、ある種のヒール(悪役)的にのし上がっていく秀吉像が佐々木蔵之介の演技とも相まって非常に共感が持てた。麒麟がくるでは、十兵衛に引導を渡す重要な役どころでもあるので、その対決が大変楽しみだ。
王道で治める国になると麒麟がくるそうだが、その意味では徳川家康麒麟を呼んだ武将(王)ということになると思うが、その時代が来るまでに秀吉が更に戦乱の世を続けたという解釈になるのだろうか。いずれにしても今回の主題である「麒麟を呼ぶもの=王道での政治」は、そういう世の中から逆算して立てられた主題であって、では日本の歴史上室町・戦国時代より以前にそういう世の中を夢見た人自体がいたのかどうかは怪しいと思う。いずれにしても明日の最終回を楽しみしている。

 

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

 

 

〇読んで得た腹落ち感
今回読んだ本もいつものHONZで紹介されていたもので、会社の帰りにイトーヨーカ堂武蔵境店西館にある八重洲ブックセンターでパラパラと立ち読みしたら、そのままレジに持って行かざるを得なくなり購入した。なぜ、購入しないといけないと思ったのかと言えば、認知科学的に英語学習が分析されていたからである。
この本でも最初に書かれているように、世の中には英語がすぐ出来るようになる様なうたい文句で売られている本は数多ある。私も、小説の書き方本には及ばないものの、かなりの冊数を費やしてきているが、その本のやり方を信じて最後までやりきっていないからダメなのだと思わされてきた。
よく言われることだが、英会話学校や語学教室は挫折型ビジネスと呼ばれていて、大抵の人は成功しないので、例えば授業料や教材などを最初に買わせてしまい、とれるものは先に取ってしまう。あとは生徒がどれだけ頑張るかが成果の鍵を握っており、教室側は成功しなくても損しない仕組みになっている。結果にコミットする……〇〇ップ英会話というのもあったが、いずれにしても失敗しても本人が困るだけだ。指導や教育を提供した側は痛くもかゆくもないのである。
したがってこれまで、自分の根性のなさが英語習得に対する最大の障壁だと考えていた一方で、感覚的には実は日本語が堪能であることが、むしろ英語学習にとって妨げになっているのではないか?という漠然とした思いがあった。つまり最大の壁は自分の持っている「日本語」(母語)だというものだ。
この本では、正に先天的に習得した母語である日本語の言語システム=「スキーマ」が、英語の「スキーマ」の形成をいかに阻害しているか、について明快な論理と証拠で書かれていた。それが本当に腹落ちするもので、さらに習得した母語スキーマを用いてしか、後天的に習得する外国語のスキーマを学習できないという矛盾が、外国語学習の困難さの正体だったということが解った。
それに対する、認知科学的に正しい英語学習法についても、豊富な例で紹介されており大変親切でよい本だと感じたので、英語の学習が伸び悩んでいる方に本当におすすめであると申し上げる。

 

永遠の1/2 (小学館文庫)

永遠の1/2 (小学館文庫)

 

 

〇次に読んでいる本は…
昨年読んだ「月の満ち欠け」の佐藤正午さんのデビュー作「永遠の1/2」を読んでいる。予備校の先生が私に残した30年越しの宿題であるが、やっぱり記憶とは全然違った。(実際に読んでないし、あらすじすら聞いていないのだから違うも何もないが)読み終えたらまた感想をブログに書こうと思う。なんと言っても一万円札に聖徳太子が描かれていた頃の話なのでなにやらタイムスリップしたような感じもするが、まだ冒頭しか読んでいないが大変面白いので楽しみである。