常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

奄美大島に行ってきました

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〇本題に入る前に告知
11月22日は「文学フリマ東京31」だ。東京での開催はちょうど一年ぶりとなる。今年の頭から始まった未曾有のコロナ禍によって、ゴールデンウィーク最終日に開催予定だった「文学フリマ東京30」は中止になった。実際には今年の春より最近の方が、一日の感染者数が多い。しかしながらいわゆる「緊急事態宣言」は出ていない。その当時とは首相も替わって今となっては8年間一日に一度は見ていた(であろう)安倍首相の顔を全く今の今まで忘れていた。そういえばいろいろ暴かねばならない疑惑などがあった気がするが、そんな昔のことはどうでもいいとばかりに、日々暮らすことだけに追い立てられている気もする。それは海の向こうのアメリカでも同じようなことが起こっていて、この4年間毎日一度は見ていたトランプ大統領の顔を全然見なくなったのではないだろうか。今回バイデンが勝てたのも、恐らくコロナ禍のせいだろう。このまま何事もなく11月22日に東京流通センターで開催できるよう祈るだけだ。

bunfree.net

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〇GoToキャンペーン利用
奄美大島に行ってきた。もちろん件のキャンペーンを利用してである。確かに実際の旅費は旅先でのクーポン利用も合わせてほぼ半額近い。こんなにお得に行けるのであれば使わない手はないと思う。しかし、そこには感染拡大「しない・させない」と言うことが前提なのでマスクとアルコールスプレーを常に携帯していなければならないのは当然として、それより大事なのはやはり一緒に同じ乗り物や場所にいる人間同士が険悪なムードにならないことだと思う。それは都会では大変難しいことだが、
地方ではそうでもないということが、今回の旅の一番の収穫と言えるかも知れない。ニュースでは、街角でマスクを着ける着けないでもめた相手に催涙スプレーをかけたという事件も起きていたようだが、空港、機内、そして旅先でもそんな場面を見ることはなかったし、自分たちも常にマスク消毒を怠ることはなく、周りにそのような気分を味あわせてはいなかったと思う。
GoToキャンペーンが理由の一つとしてではなぜ、奄美大島にいったのか?それはカミさんが行きたいと言ったからと言うのが大変大きいのだが、私としてもまさに「名前がよく知っているが、実際に行ったという人はあまり聞いたことがない」島だからというのも大きかった。そもそも、何処にある島なのか?それを知るために地図を見ることから始めた。以下の本も買った。

 

02 地球の歩き方JAPAN 島旅 奄美大島(奄美群島1) (地球の歩き方JAPAN島旅)

02 地球の歩き方JAPAN 島旅 奄美大島(奄美群島1) (地球の歩き方JAPAN島旅)

  • 発売日: 2017/12/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

しかし、奄美大島に行きたいと思う一番の理由になったのはYouTubeで見た映像である。


ドローンがみた奄美大島Ⅲ - あまみカメラ4周年記念ムービー(ドローン空撮 4K)

 

〇一日目
吉祥寺駅から高速バスに乗って羽田空港に向かった。仕事ではしょっちゅう乗っていたが、プライベートで乗ることはほとんどないバスであるが、混み具合もコロナ前とあまり変わらないように思った。車内では感染症対策のアナウンスが流れていたが、乗客も全てマスクを装着しており、激しく咳き込むような人もいないようだった。余談だが、少し前に吉祥寺駅の本屋の前でしゃがんで激しく咳き込みながらスマホをいじっておられる方がおられたので、早々にその場を立ち去ったがすぐ横のカフェでは普通にコーヒーなどを飲んでおられる方々がおり少々心配になった。
空港について、早速チェックインを済まそうと思いカウンターへ向かった。ここでも感染症対策のためなのか人件費節約のためなのかわからないが、すでに機械によるチェックイン、手荷物預かりのラベル印刷など、全く人と対面せずにチェックインと手荷物預けを済ませることが出来た。コロナ前の中国出張時に中国の航空会社に成田から乗るときも、チェックインと手荷物ラベルを印刷するまでは機械で出来るのだが、肝心の手荷物を預けるところがカウンターであり、そこに長蛇の列が出来ていたので辟易としたおぼえがあるが、今回利用した準国営航空会社は荷物を預けるところも自動でラベルを読み取ってコンベアーが運び去っていったので素晴らしいと思った。
機材はBoeing737-800だったと思う。国際線と違ってヘッドレストの後ろにモニターなどはないが、座席の広さは割とゆったりしている気がした。定刻になり、滑走路に出るときにいつもの「乗務員はレバーをアームドにセットして下さい」というアナウンスが流れたが、いつも思うのだがこの「アームド」って何のことなのだろうか? ……とそんなことを考えていると飛行機が加速して離陸したのだが、ぐんぐん上昇してとおくなっていく窓の外の東京湾を見ながら不思議な感覚に襲われた。怖いのである。別に偉そうに言うことでも無いが、コロナの前は月に二度ぐらいは飛行機に乗っていた様な気がするが、今年の初めから全く乗っていなかった。機材も国際便とは違うとは言え飛び立って上昇していく間、何とも言えない緊張感を感じた。その後も何事もなく上昇していき安定飛行に移ってシートベルト着用のサインが消え、飲み物が配られてそれを飲み終わって一息ついたときにはすっかり忘れて眠りに落ちていた。
次に気がつくと既に機体は降下を始めており、窓の外に島影が見えていた。久々に見る南の海は本当に深いブルーでこれを見ただけでも来た甲斐があったと思った。少々荒っぽい着陸ではあったが、無事に奄美大島空港に着陸して手荷物を回収し、レンタカー屋へ向かう。借りた車両は軽で日産のデイズ(旧型)だったが、走り始めてしばらくして全然快適だなと思った。いつも仕事では普通車を借りているが今の軽はほとんど遜色ないと思った。今日の日程は島の北部にある空港から宿のある名瀬港までいくだけなので、途中適当なところに寄りながら走った。走り出してすぐに神明岬展望台が有ったので、まずは南の島の海と空が見たいと思い展望台までの道を上ってみた。途中木が倒れて道を塞いでいたが、それを乗り越えて展望台まで行くと視界が全て海と空になるという希望通りの景色と出会うことが出来た。眺望に満足して来た道を戻り出すと、背後にヘリの四機編隊が飛び去った。自衛隊の基地でもあったのだろうか?
ホテルは島の中央北部の名瀬という港町にあったのだが、少し時間が合ったのでそのちょっと先の大浜海浜公園大浜ビーチへ夕日を観に行った。東シナ海に沈む夕日が寄せる波を光らせていて本当にラッセンの絵のようだった。

 

〇二日目
二日目の午前中は予定が決まっていた。10年ぶりのダイビングである。朝8時半にダイビングショップ「ネイティブシー」に集合だったのだが、出発に手間取った上に方向感覚がおかしく、ナビとは逆の方向に走り始めてしまったりして、結局20分ぐらい遅刻してしまった。我々の担当の京都出身のインストラクターの方には特別怒られたりはしなかったが、内心はどう思っていたのかはわからない。しかし、非常に親切に説明してもらって30分後には10年ぶりにボンベを背負って海に潜ることが出来た。最初のビーチはあまり透明度が高くないところではあったが、水の中を潜っていられることが楽しく、魚もいろいろな種類のものをインストラクター方が手書きボードで説明してくれるので楽しく一本目を終えることが出来た。一旦ショップに戻った後、二本目はちょっと車で走ったところへ行った。そこではウミガメを沢山(と言っても全部で4匹ぐらいだったと思う)見ることが出来て本当にうれしかった。もしかしたらこれで人生最後のダイブかもしれないが、ウミガメが何かを食べてるところや、海底で休んでいるところ、息継ぎに浮上するところなどをつぶさに観察することが出来た。

amami-diving.com


午後は近くのレストランでランチを食べてから奄美市歴史民俗資料館へ行った。私は出切る限り旅行へ行ったら、その土地の歴史などを知りたいと思うので、博物館や民俗資料館へ寄るようにしている。中国深圳でも行ったし、ベトナムハノイでも行った。インドネシアでも行ったと思う。正直外国だと日本語の表示や説明はないので、英語頼みになりかなり心許ないが、でも展示物自身が持っているリアリティーは感じ取ることが出来る。今回行った資料館で心に残ったのは若い女性と赤ん坊の骨格標本だった。展示には歴史的資料として展示はしているが、ご遺体でもあるので見学する方は一礼し手を合わせるようにと書いてあった。若い女性とその出産直後らしい赤子がどのような理由で死んだのだろうと想像しながら数万年前からこの地にいた人たちのことを考えた。

www.city.amami.lg.jp

その後、その資料館からほど近いあやまる岬へ向かった。駐車場のある丘の上には最近整備されたとおぼしきこぎれいなカフェがあり、視界いっぱいの空と海を見ながらコーヒーを飲んだ。コーヒーも美味しかったが、こんな場所でコーヒーを飲めることが素晴らしいと思った。東京のカフェで飲むコーヒーも美味しい。雑然とした店内の狭いシートに身をちぢこませて飲むコーヒーも悪くない。しかし、こんな景色を見ながら毎日コーヒーが飲めたら幸せだろうなとおもった。日が落ちるまで海辺で過ごし、またホテルに戻ることにした。

mishoran.com


途中ビッグツーというショッピングセンターによった。倉庫のような大きな建物の中に食料品から衣料、リビング用品なども売っているジョイフル本田のような店だったが、ホントに南国の百貨店でありなんでもあると言う印象だった。むしろ普通以上に物が揃ってるきがする。釣具が特に充実していたので、この島の釣りというのも楽しいのだろうと想像できた。これらは全てどのように流通してくるのだろうか?鹿児島から船で運ばれてくるのだろうか。お土産ものコーナーも大変充実しており、なんと5500円以上買うと送料無料になる。ただし酒は除外!なので要注意だ。

www.big2.co.jp


〇三日目
この日は帰る日ではあるが、飛行機は三時の便である。それまで有効に時間を使うことにした。カミさんがどこかで(空港?)手に入れていたチラシに「金作原原生林トレッキングとエコツーリズムツアー」が三時間で九時からだったので申し込んだ。ガイドさんは真面目な感じの方で、どこかで見た人に似てると思ったが、毎朝京王線の車内ビデオで流れているFC東京のU20チームのコーチだった。しかし、この方のガイドは素晴らしく、森に着くまでの普通の田舎道やただのトレッキングルートが博物館に変わる用に感じたほどだった。金作原原生林は、レンタカーの車内に「林道や金作原原生林には入らないで下さい」と書いてあったので、何だろうと気になっていたのだがたしかに、未舗装の林道である程度奥まで入ると20メートルを超えるシダ類の森を見ることが出来てジュラシックパークを思い出した。ある程度奥まで入って引き返してくる当たりで面白い話を聞いた。20年ぐらい前にハブを駆除する目的でマングースを数十匹放ったそうである。結果としてハブは全く駆除されず、代わりに有名なアマミクロウサギや、その他の小動物がマングースにやられて駆除されかかったそうである。そもそもマングースは昼行性であり、ハブは夜行性のためまったく出会うことがないためにそもそも戦うことがなかったのだそうだ。確かに自分の子供の頃「コブラマングース」という見世物があった気がするが、恐らくその発想でやってしまったのだろう。その後地元の人たちの正に20年間地道な活動(罠を仕掛けてマングースを捕らえて処分する)を続けることによってようやく最近罠にはかからなくなったそうである。もう数年続けて捕まらなければ絶滅宣言が出るだろうとのことだった。マングースもいい迷惑だったと思うが、そもそもハブに噛まれて死ぬ人もここ10年で数人とのことだった。
ここで私もはたと思い当たったのである。初日に登った展望台にしても、二日目にちょっと寄り道した夜の浜辺にも人を見なかった。しかし、道には車が走っており普通に生活しているように見えたが、夜畑や山にはハブが出るので誰も行かないのであった。奄美大島の自然はハブに守られていたので、アマミクロウサギのような希少種が生き残っていたのだという。昨日見た親子ももしかしたらハブに噛まれて死んだのかも知れない。

amamism.com

一緒にツアーに参加していた鹿児島から来た親子三人のうちのお母さんが、このあとは田中一村美術館に行くと言っていたので、我々も行くことにした。正直三時の飛行機で金作原原生林から空港までは40分ぐらいかかるので、実はほとんど時間がないことはわかっていたが、それでも来た以上は見ておかなければと車を走らせた。
美術家はかなり立派な建物であったが、じっくり見ている暇もなく急いで展示室にむかった。何でも田中一村と言う画家は東山魁夷と同じ世代の人だと言うことだが、画壇から離れて奄美大島で一人コツコツと絵を描き続けてひっそりとなくなった方だそうである。その生き方にはとても関心があったので、是非作品を見ておきたいと思った。かなり急いで見たというのもあるが、描いても誰にも見せることもなく、次の作品に取りかかり、最後は夕食の準備中に心不全で亡くなられた人の作品と思うとなんとなく心がざわつくものがあったが、それ何なのかはよくわからなかった。

amamipark.com

そこから急いで空港に向かいレンタカーを返して、チェックインと手荷物預けをすませて保安検査を受ける前に、空港内にあったジョイフル(九州ローカルのファミレス)でチキン南蛮弁当を買って飛行機に乗り込んだ。カミさんと二人で飛行機の狭いシートでとても立派なチキン南蛮弁当(味噌汁付き)を食べて一眠りしたらもう羽田であった。
翌日は丸一日寝込んだ。寝ながら羽田空港から乗った高速バスの窓から見えた風景を思い出した。コンクリートで固められたビルや高架の道路の風景とあやまる岬のそれを比較した。更に資料館で見た骨格標本を思い出し、人間の到達点というものを考えた。

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〇文フリのブース
ケ-30です。今回は創作シナリオ集1から最新刊の3のまで全てそろって販売できそうなのでご興味のある方は是非会場でお会いしましょう。浜松町からモノレールで流通センター駅です。