常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「B〇〇K 〇FF」の問題

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〇古本屋街
まだ20代のころ、日曜日などは本屋巡りをした。何か探している本がある場合もあるし、何も目当てのない時もあった。大抵目当ては漫画であったが、徐々に小難しい本を読むようになった頃でもあり、その頃はネットもなかったので、読んだ本に紹介されていた本を読んで、またその本に紹介されている本を読むというような芋づる式読書をしていた。実家は名古屋の近郊都市だったので、JR東海鶴舞駅から出発して名古屋地下鉄上前津駅まで歩くと、大体十軒ぐらいの古本屋をまわってから、大須の電気街へ到着し、今度は中古ゲームやパーツを見て回って一日が終わったものだった。

〇リアルマッピング
毎月のように本屋や電気街を巡っていても、店にあるモノがどんどん入れ替わっていくということはないので、通っていれば、何処の棚に何が載っていたかを自然と覚える。パソコンのパーツショップなんかは万引き対策なのだろうと思うが、半年に一回ぐらい棚卸しを兼ねて配置換えを行うので、何処にあったかがすぐわからなくなるが、古本屋の棚というのは下手すると10年経っても同じ本がそこにあったりする。そうすると、それぞれの古本屋の本棚の何処にどんな本があるかの地図が頭の中で出来上がってくるので、何かの切っ掛けで読みたい本が出来たときに、あの本屋のあの辺にあったかもと思って行く・・・ということが出来た。

◯東京に出てきてから
東京には神田というところに同じような本屋街があることを誰かからおしえてもらった。最初は確か東京の方に進学した友人の案内で訪れたと思うが、その時古本屋街は実は神田ではなく、実際には神保町の方にあるということを知った。神保町駅から秋葉原までは歩いて行くことができる。それを知ってからは、名古屋で古本屋街から電気街まで歩いていたように、東京では神保町界隈から秋葉原まで歩く事が多くなった。その後はアキバの方へ直行する方が多くなり、古本屋を毎週のように巡回し、棚の上の本の配置まで覚えてしまう様なことはなかった。何より、近所にどんどん増える「ブックオフ」で古本屋は事が足りると思っていた。しかし、それは大きな間違いだったことに最近気がついた。本を探しにブックオフのいろいろな店舗に行っても、本がないのである。

〇ワゴン販売
ブックオフのビジネスモデルはまず売値から決まっている。定価の半額だ。今は少し違う気もするが、昔ブックオフの経営を立て直した時の記事を読んだ記憶によるとそうだったと思う。これなら本の中身がわからないバイトでも値付けの処理が可能だ。そしてどんな本かに関わらず、ある年数以前の本は基本買い取らない。出版されてからの年数で本の価値を見切るのである。まるで、放射性同位体半減期のように、ある年数を経た本は価値ゼロなのである。マーケットで売り買いされる商品のうち、このやり方が適切なものは他にも沢山あると思う。スーパーで売られている生鮮食料品、野菜や果物なんかが典型だろう。売り場の片隅に置かれているワゴンの上に載っている商品だ。

〇古本墓場
もうおわかりだと思うが、ブックオフは古本屋ではないのだ。売り出された新刊本の鮮度がまだあるうちに何度も売ってその差額で儲けるビジネスなのである。昔私は自分の本棚が一杯になって仕方なくブックオフに売ったりしていた。また読みたくなったら買い戻せばいいと言うぐらいの気持ちだった。昔の質屋はそんな感じだったのかも知れない。しかし、ブックオフはまさにこの質屋と同じで、時間が経てば「流れる」のである。半減期を過ぎると価値がなくなり、古紙再生にまわされるのだろう。

〇出版社も困るはず
新刊本をだす出版社も、ブックオフが準新刊本を回転させていては儲からないとおもう。やはりそれに対抗するにはデジタル化しかないと思う。しかしそれもKindleアンリミテッドのようなサブスクリプションもでるに吸い取られている。読み放題かもしれないが、まさにブックオフのように自分の本棚には残っていかないのだ。雑誌のように、そのときは一過性の話題鹿野って内容に思えても、その時代のスナップのような記事は時間が経てば逆に意味を持つものだってある。まあ、一旦デジタルになったものはアーカイブのどこかに残り続けるとは思うので、100年後でも今月出た雑誌を今と全く変わらないクオリティーで読むことが出来るようになるとは思う。

〇図書館もアーカイブできてない
先日お亡くなりになった橋本治の本に興味を持ったので、公共の図書館で借りてみたのだが、文庫本だったということもあるが、やはり時間がたったものは痛みが激しい。表紙に「水濡れあり」なんてシール貼ってあるが、確かにページが全体的にぶよぶよだった。タダで借りることが出来るから利用者も本を大事にしないということもあるかも知れないが、やはり形あるモノはいずれ消えてなくなる。図書館でデジタル本が借りられるようになると一番いいと思うが、それでは出版社や作家は収入がなくなってしまう。やはりデジタルで販売するしかないだろう。そのためには「電子書籍リーダー」が前にも書いたように読み上げなど柔軟な方法での読書に対応して欲しいと切に願う。