常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

どんな場所も誰かの聖地 〜 「宇部シン川駅」に行った

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○ネタバレ解禁?
もうというか、やっとというか、ネタバレ解禁だそうなので先日見た「シン・エヴァンゲリオン劇場版:II」のいわゆる「聖地」へ行った話を書く。
先に結論から言うと、聖地に行ったからと言って、映画の理解がより深まったとかそういうことはない。ただ、純粋に楽しかった。
2021年4月13日から15日にかけて、仕事で新山口に行くことになった。これは……運命としか思えない。新山口宇部新川は目と鼻の先である。(実際はそんなに近くないが……)そこまで行く以上、足を伸ばさない訳にいかない。

 

○08:27 シン山口発宇部シン川行き

前日は仕事で新山口駅から車で30分ぐらいの場所にある工場である部品の試作を行っていた。翌日は東京へ戻るだけだったので、一緒に出張に来た会社の人たちに明日は別行動させていただきますとキチンと断っておいた。
新山口から東京まではだいたい5時間強かかる。おまけに帰りの新幹線の切符も往復割引で買ったので、変更するためには一旦払い戻しが必要になる。新山口発の時間は12時10分だったので、それまでに宇部新川駅まで行って、帰ってこなければならない。そこでまずは前掲の電車に乗って出発した。
改札を抜ける前にまずは紙の切符を買った。関東近辺を移動する限りにおいてはここ数年紙の切符は買ったことがなかったので、大変懐かしい感覚がした。8時20分ぐらいに改札をぬけて、8番ホームへ向かう途中窓から乗る電車が見えた。

(写真1)

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○09:17 宇部シン川到着
駅に降り立った瞬間から不思議な感覚だった。数週間前に映画で見た場所に自分が居る。微風が吹いているホーム(2-1)上から見る風景は、映画のカットと記憶の中でシンクロする。一緒に電車に乗ってきた人々は、全くいつもの日常という風情でホームから階段を上っていく。この階段(2-2)は先日のNHKスペシャルでも庵野監督がiPhone持ったまま駆け上がっていた所だ。

(写真2-1)

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(写真2-2)

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○09:20 改札を抜けて駅舎へ
屋根の着いた跨線橋?を越えて反対側の駅舎のあるホームへいく。改札の手前に池?(3)があり、真ん中に白鳥のオブジェが鎮座している。

(写真3)

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○09:23 ポスターパネル展示
事前にネットで見ていたが、映画の公開後にこの駅が出ていることがわかった時点で、このポスターパネル(4)が展示されたようだ。監督のサインもあった。

(写真4)

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○09:27 駅舎の外へ
ここからシンジとマリが駆け出してくる……うーんそこに自分が立っている不思議。(5)テーマパークなどに行く感覚に近いが、現実にそこで生きている人がいる空間なので、圧倒的リアリティー……いや、現実なんだから当たり前だ。現実を知る前にドラマで見ているからおかしな感覚に陥るということか。

(写真5)

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○09:36 駅の周りをうろつく
駅舎を出てホームから見えた踏切の方まで歩いてみた。(7)ここで一つ大きなミスをしていたことに気がついた。ポスターに使われていた構図を探すのを忘れていたのである。あの線路の先にシンジ君が立っていた場所は何処だったのだろうか?ポスターの線路から二カ所分岐していることについて、ネットで興味深い考察をしていた人がいたが、それを実際に見られたのに見逃したのは大変残念だ。

(写真6)

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(写真7)

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(写真8)

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(写真9)

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○09:47 再び駅舎へ
先述のポスターが待合室(10)のガラスに貼ってある。この写真はガラスに自分が映っているので、自分がその世界の中に入れたような気分を上手く表現しているんじゃないかと思う。

(写真10)

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○10:03 宇部シン川発シン山口行き
新山口から12時の新幹線で東京へ帰らなければならないので、大変名残惜しかったが再び帰りの電車に乗った。(11)帰りは「EVA-01」と書かれたジャンパーを着たいわゆる「ガチ勢」の方と一緒の電車だった。逆に言うと、もっと沢山のファンが聖地を訪れているのかと思ったが、その方をのぞいて、それらしき人をまったく見かけなかった。やはり若い世代にとっては、すでに過去のコンテンツになっているのだろうか?

(写真11)

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(写真12)

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○10:51 シン山口着
電車の中でベタだが宇多田ヒカルの「One Last Kiss」の入ったミニアルバムをずーっと聴いていたら、エヴァンゲリオンシリーズと自分の25年間が車窓の景色の上にオーバーラップして、電車から降りるとき網棚の上にバッグを上げたの完全に忘れていた。

感慨にふけってしばらくの間ホームで呆然としていたが、改札に行きかけてバッグのことを思い出し急いで電車の所に戻った。回送電車になっていたが幸いなことにまだ車庫に入らずにホームにいたので、車掌さんにバッグを忘れましたと告げた。すると、既に改札に持っていったので、そちらで聞いて下さいと言われた。

よほどホームで呆けていたので駅員さんが自分のバッグを持っていったのにも気がつかなかったようだ。改札に行くと女性の駅員さんが、凄く真面目に私が本当に持ち主かと確認しようとするので、むしろ大変好ましく思った。業務に対して真摯に向き合っている感じが伝わってきた。

(写真13)

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(写真14)

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○11:07 シン山口駅の転車台へ
新幹線の時間までまだ小一時間あるので、行きに新幹線が新山口に到着する直前に見えた転車台を近くで見たいと思い、そちらの方へ歩き出した。下から見ると放射状に広がった線路と転車台は見えないだろうとは思ったが、せっかく時間があるので行ってみた。ここは第三村のモデルになっているんじゃないかと思ったのも近くで見ようと思った理由である。

(写真15)

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案の定水平で見ると電車が並んでいるだけであまり面白みがないが、でも近づいてみて初めてわかることもあって、行ってみてよかったと思う。

(写真16)

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○11:46 ごぼうからあげうどん
新幹線に乗る前に腹ごしらえしようと思い、駅の中の売店でうどんを食べた。ゴボウの唐揚げ(唐揚げということは片栗粉で衣がついてる?)うどんを食べた。九州だとごぼう天うどんだと思うが、こちらではごぼう唐揚げうどんなのだろうか?初めて食べたが、美味しかった。

(写真17)

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○新幹線の車窓から
東京へ向かう新幹線の車窓から外を眺めながら気がついたことがあった。映画にも出てきていたが、どの町にも鉄塔とかアンテナが沢山立っている。普段はそんなことを気にしないが、きっと庵野監督の目には選択的にそれが見えていたのだろう。劇中でも空中をくるくる回って浮かんでたが、よくみると構造物として大変面白いものに見えて来たから不思議だ。宇部新川駅に行ったからと言って、庵野監督的視野に浸食されたとは思わないが、エヴァ的な風景の切り取り方は伝染したかもしれない。

(写真18)

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