常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「スタンフォード式 人生デザイン講座」を読んだ

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○実用書です
最近はノンフィクションや実用書をあまり読んでいなかったが、なぜかこの本は気になって手に取った。冒頭に紹介されている「人生に行き詰まった三人」のエピソードを読んで、不覚にも涙をこぼしそうになったからである。ちょうど出張に行くのに本を持ってこなかったことに気がついて、東京駅の書店で探したのである。いや、実は前日に久我山駅啓文堂で立ち読みした時に、前述の部分を読んでぐっときたものの、いったんは書架にもどした。翌日、中央線に揺られて東京駅に向かう途中で、アレは是非とも読まなければと思い直した。

 

 

 

 

〇行き詰まり思考の打破
この本に書いてあった、読み終わって一番役に立ちそうだと思ったことを、ごく簡単に説明する。問題の解決には「エンジニアリング」と「クリエイティブ」という方向性があり、その二つは似ているようで異なる。エンジニアリングは、答えが一つに決まっているときに、その答えに向かってあらゆる手を尽くして突き詰めていくやり方である。ゴールとしての最適解が一つあり、それを出すために全ての作業がある。それに対してクリエイティブは、解は無数にあり、どれかが正解と言うことはないという問題に対する取り組み方で、無数の解を創造して、そのなかから一番良さそうなものを選ぶやり方である。人生というものへの取り組みはもちろん後者の方が必要になる。人生にただ一つの正解はない。どのように生きてもいいし、自分が幸福で満足できる人生をまっとうできるかどうかが要点だ。

〇エンジアリングとクリエイティブ
そのためのライフ「デザイン」というやり方の実際の方法は、本を参照していただくとして、私としてはこの「エンジアリングとクリエイティブ」という概念で思い当たったことを書きたいと思う。今働いている会社には文字通り「クリエイティブ」という部門がある。そこで商品の構想を練り、あるジャンルの製品を考える際に正に無数にあるアプローチの中からもっとも良いものを絞り込む。それをデザインする。

〇クリエイティブ=無限解、エンジニアリング=有限解
そうやってデザインされたものを、製品として実現するために技術部門がエンジニアリングを行って最適解を突き詰めていくと言うやり方で商品開発が行われている。
しかし、エンジニアリングに下りて来た段階で、ほぼクリエイティブにもう一度戻して選択肢を選びなおしている時間は無いので、後はひたすら突貫工事になる。しかし、本来のクリエイティブ的な問題解決は、いつどんな段階でも選択肢を作り出し、選び直していく自由があるべきではないかと思う。
もちろん、エンジニアリングの方でも、クリエイティブが選んで決めて出してきた選択肢に対して最大限の実現努力は惜しむべきでは無いと思う。しかし、決められた条件の中で最適解がどうしても出せない場合は、選択肢から選び直してもらうことが出来る柔軟さが有ってもいいのではないか。

〇クリエイティブとエンジニアリングのいい関係
つまり、お互いのプロセスがサイクルとなって、上昇するスパイラルになれればもっといいものが出来ていくのだろう。それが本来はモデルチェンジと言われるものなのではなないだろうか。自動車は2年一回、家電は一年に一回、決まったことのようにモデルチェンジするというのは、実は本末転倒で、クリエイティブとエンジニアリングがそれぞれを限界まで突き詰めた結果、次のフェーズに進むという結果から生まれたものだったのではないだろうか?

〇もう一回ライフデザインにもどる
そう考えると、自分の人生もモデルチェンジの時期が来るのは当然という気もする。そのためには、それぞれのプロセスを限界まで突き詰めていく必要があると言うことだ。そして来たるべきレベルアップに備えなければならないと思った。