常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

「グリーン・ブック」を観た

f:id:tokiwa-heizo:20190315230425j:image

〇バディものでロードムービー
この映画のポスターに黒人と白人が車に乗っている写真が使われているが、もうこのビジュアルだけであの名作「48時間」を思わせる。面白くないはずがない。これを観に行かなければと思った。

 

 

 

〇府中・・・・・・それは最後のフロンティア?
三鷹に住んでいながら府中の方へは足を伸ばしたことがなかった私にとって府中は未開拓(フロンティア)だったので、あえて古いネタですみません。
「グリーン・ブック」がTOHOシネマズ府中でやっている事をネットで確認してから、雨降る中を車で出かけた。映画館は府中駅近くの「くるる」というショッピングビルの5階にあり、地下には大きな駐車場もあるとのことだった。日曜日で雨だけどなんとか停められる、お願い停めさせて下さいという期待の元、ビルの地下の駐車場スペースに入っていくと、普通の地下駐車場のように自分で空いている区画まで行って停めるのではなく、1から4までのシャッターが並んでおり、それぞれのレーンごとに機械式のパーキングがあるようだ。なんだか大きなゴミ処理場を思わせる。
中は立体駐車場になっており、車を出し入れするのに時間がかかるのだが、収容量は普通に地下を駐車場にしたものより高密度に車を収納することができるのだろう。われわれは「くるる」への客ということで1番のレーンに車を預けて、エレベーターで5階に向かった。

http://kururu.co.jp/

 

 

〇TOHOシネマズ府中
東京近郊のTOHOシネマズには結構な数の場所に行ってると思う。松戸に住んでいた頃は千葉ニュータウンのイオンにある・・・アレはイオンシネマか。流山おおたかの森、渋谷、新宿、品川はTOHOだったと思う。イオンもTOHOもシネコンは何処も赤と黒のイメージだが、府中も同じだった。たまに吉祥寺オデオンなどに行くと、昔の映画館を思い出す。この前の新宿シネマートも結構古い雰囲気だった。
チケットを買ってからまだ時間が合ったので同じビルの中にあるお好み焼き屋で腹ごしらえをした。映画のチケットを持っていると8%割引になった。消費税分がタダになったというところだが、これも消費税が10%になったら割引率は上がるのだろうか?たぶんあがらないだろう。

 

◯あらすじ
1964年ニューヨーク。ナイトクラブで用心棒をしているトニーは、自分がやったあることが原因でナイトクラブが改装工事のために2ヶ月間休業することになり、収入の道が断たれた。無収入のままクリスマスもやってくるのを待つわけにもゆかず、ある人物から仕事の紹介を受けるが、その仕事は黒人のピアニスト、ドクの運転手となり南部に8週間のコンサートツアーに行くというものだった。
一旦は断るが、今度はドクの方から是非とお願いされる。それを渋々引き受けるトニー。ドクはコンサートツアーの会場では、音楽家としてチヤホヤされているが、宿を取るときは「グリーン・ブック」に載っている有色人種でも止まれる宿にしか泊まることが出来ない。それでもどんどん「ディープ・サウス」と呼ばれるアメリカの南部へのツアーを続けていくドク。そしてついに最終日のコンサート会場で、演奏を聴きに来た客と同じレストランで食事を取ることが出来ないドクにトニーは、演奏をキャンセルしてニューヨークに帰る事を提案する。夜通し運転してニューヨークに帰り着く二人。トニーの家では家族、親戚が集まってクリスマスパーティーをしている。そこへなんとか間に合うトニー。ドクも一旦は自分の家に帰るが、トニーの家に来て一緒にクリスマスを祝う二人。

 

劇中に出てくる「グリーン・ブック」については下記を参照

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E4%BA%BA%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF

 

〇世界を変えるには
ドクの演奏仲間にトニーが「なぜ危険を冒して南部に来てコンサートをするのか?」と訪ねるシーンがある。その時は答えないが、最後のコンサート会場でその答えを言うのだ。「世界を変えるには、才能だけでは足りない。勇気がひつようだ」と。そもそも世界を変えようなどと大それた事を考えたこともないのだが、このセリフには有無を言わせない説得力があった。ああ、そうだよな、と思わせるものがあった。
我々日本人は、普段あまり人種の壁なんか意識しないから、そもそも世界を変えるってどういうことかをイメージしにくい。そこで前回の「A GOHST STORY」が役に立った。(無駄な映画はないねー)この場合の世界は<社会>のことだろう。<世界>のほうは、素の宇宙であり変えることは出来ない。変えられるのは<社会>なのである。

 

〇バディもの
私が特に好きなシーンは、車の中でフライドチキンを食べるシーンである。車がケンタッキーに差し掛かり、名物フライドチキンを食べようと、カーネル・サンダースの店に立ち寄ってパーティバーレルのようなものを買い込むトニー。それを後ろの席から珍しいものを見るように眺めているドク。トニーに勧められても「皿とフォークがないから」と食べることを拒むドクに無理矢理渡してしまうトニー。恐る恐る口を付けるがそのおいしさに気がついて食べてしまうドク。骨が残って、ドクがこれをどうすればいいのか?と聞くので、トニーはこうするんだと、窓から豪快に投げ捨てる。目を丸くするドク。この後の展開がよかった。トニーはついでに空になったコーラのカップを窓から捨てる。急に車は止まりバックしだす。ドアを開けてカップを拾うトニー。骨は捨ててもいがゴミはダメという辺りが、自然に分解される生ゴミはいいが、プラスチックのストローや蓋のついた紙コップはダメという極めて現代的な価値判断である。タダ、それは現代の映画なのでしょうがないだろう。バディものの面白さはそういう非対称の人間関係が作り出すギャップが楽しめることだ。

 

 

〇白人=救世主?
ネットでこの映画のことを調べてみると、批判する文脈の一つに「白人が有色人種の危機を救う救世主になる」映画という括りがある事を知った。そういう映画の系譜があるそうだ。あえて例は挙げないが、検索すればいろいろと見つかるだろう。その辺の批判を回避するためというわけではないが、一応この映画は事実に基づくストーリーということだ。思い返してみると前回観た「A GOHST STORY」も白人視点の映画だった気がするし、そういう風に見えると言う部分はあると思う。でもそれだけで批判するというのも寂しい気がする。この映画は面白かった。何かに役立つとか、勉強になったと言うことは特にないが、観ている時間を楽しませてくれた良い映画であった。

 

グラン・トリノ [Blu-ray]

グラン・トリノ [Blu-ray]