常盤平蔵のつぶやき

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「ウエストワールド シーズン1」を観終わった

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AmazonPrime Video で見られるHBOのドラマ「WESTWORLD」が本当に面白い。シーズン2はすでにアメリカでは放映中の様だ。観られる日が楽しみである。本当に面白い!と思えるテレビシリーズドラマは何年か前にはまった「バトルスター・ギャラクティカ」のシリーズ以来だった。

 

 

 

先日の海の日の連休を使って一気に第一話から第十話までファーストシーズンを見終わった。一話当たり一時間のドラマだが、本当に始まりの数分から、終わり頃の数分間まで、全く間延びすることの無い見事な脚本で、それだけでも感動する。この猛暑の中で外に出るのもためらわれたが、このドラマのおかげで連休を有意義に過ごすことが出来た。

◯元ネタは70年代の映画
元ネタというか、七〇年代に作られた映画「ウエストワールド」が元になっているが、あの頃も第一次人工知能ブームの余韻があったのだろう。原作はマイケル・クライトンと聞けば「ジュラシックパーク」の方が思い出されるが、いわゆるこのパークという設定はこの人の専売特許なのだろうか?
基本は古い映画のリメイク。それを現代ならではのネタを仕込んでいるため全く新しい楽しみを見出せる。バトルスター・ギャラクティカの時と同じで、同じ設定でもアイデア次第でこんなに面白くできると思わせてくれる。

 

 

 

◯ストーリー
最先端の技術で作られたロボットの「ホスト」がパークに来た客のあらゆる要求に応えて究極のごっこ遊びができる場所がデロスという会社が提供するウエストワールドだ。ここでは「殺し」(もちろん相手はロボットだから死なないので、一時的な機能停止だ)も含めたあらゆる行動が自由だ。本当の西部開拓時代がそこまで無法な世界だったかどうかはわからないが、銀河鉄道999に出てくる「自由な惑星」みたいな感じだと言ったらわかる人はわかるだろう。

 


そこでロボットの「ホスト」達はシナリオ通りの行動を毎日繰り返している。そこに人間の客「ゲスト」が勝手な行動を追加してくるのでシナリオは予定調和では終わらないが、ある程度即興的な反応もできるレベルのロボットだ。この辺り、前回のブログにも書いたAIには絶対に出来そうにないが、それが出来るAIやロボットが完成しているという前提でのお話という事である。

 

 

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AI vs. 教科書が読めない子どもたち

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パークは営業を開始してからすでに30年以上たっているという設定だ。という事はもしこれが現代の話だとして30年前と言うと・・・1990年代と言うことになる。前作の映画をそのまま引き継いでいると言う設定ではない様だ。さらに言えば、このドラマパーク外での生活がどの様に営まれているかは一切映らない。この事によって、時代が本当はいつなのかは特定されない様になっている。この設定というか、ドラマとしてのシナリオはいい決断をしたと思う。パークの外の世界を知らないという事は、ホストの視点と同じだからだ。視聴者にもホストの方に感情移入させる為だろう。
ストーリーはデロスという運営会社及びそこに雇われている社員テレサ、リー、エルシー(人間)と、パークの肝であるホストを開発した天才博士、フォード(人間)、30年以上パークに通っているという謎の客、黒服の男(人間)とホスト達、ドロレス、メイヴ、テッド(ロボット)とのそれぞれの思惑が複雑に絡み合っているため、説明するのがかなり難しい。そこでそれぞれの主要な登場人物の思惑を書いてみる事にする。

◯フォード博士
アンソニー・ホプキンス演じるパークのホストを開発した天才だが、パーク創業当時にはパートナーがいたことが中盤に明らかになる。名前はアーノルド。アーノルドはロボットは自我を持つ可能性があると信じて開発をしていた。この部分がドラマの初期からミステリーとして最後まで引っ張っていく事になる。ドラマの最初の方では、フォードのスタンスはホストはあくまで機械であり、自我を持つなどという事はあり得ないと考えており、アーノルドと対立していた様だ。しかしドラマの最終回で、アーノルドと同じ考えに到達したようだ。その為、自分のシナリオを発動させドロレスに自分を殺させて、それと同時にその他のホストを使って会社の役員や招待客を皆殺しにするシーンは、元ネタの映画から考えればそこに落ち着くのは当たり前だったのかもしれない。ただ、そこに至る道筋が文字通り一筋縄ではいかないのだ。
運営会社のシナリオ担当者が自分のシナリオ「レッドリバーオデッセイ」を披露するときに「生きたまま自分の内臓を食べる…」というエピソードもあるよというと「くだらん」と一蹴するのはレクター博士役をやったアンソニー・ホプキンスへのパロディだろう。

 

 

◯ドロレス
パーク創業当時からいるホストでアーノルドの調整を受けていた。その為自我を持っているという設定だ。そこで問題になるのは、じゃあなぜアーノルドを殺して、最後にまたフォードを殺すことができたのか?自我はあってもロボットでもあるので、折りたたみのタブレットみたいな端末でコントロールできてしまう。それは途中でバーナードがフォードにされる事もそうだが、そういう二面性、自我、つまり自分の意思、考えを持っている事と機械であるがゆえに命令には絶対服従であることは矛盾せずホストの中に存在する。
アーノルドがドロレスのために仕込んだ「メイズ」というゲームが出てくるのだが、
フォードが解説するところによるとアーノルドが考えていた「精神」というか意識はピラミッド構造になっており、一番下に記憶があり、それに基づく即興があって、その上に…何があるかはわからないと言うことになっていたが(自我だろう)それは実はピラミッド構造では無くマトリョーシカのような入れ子構造になっていると途中でモデルが変わる。それを具体的に表しているのが「MAZE」(迷路)だという事だった。

ちなみに、Amazonが売っているスマートスピーカーALEXAでこの「MAZE」がノベルゲームとして遊べるという記事があったので自宅のALEXAに何度も「Open WestWorld!」と言ってるのだが「知らん」と言われるのはなぜなのだろうか?

japanese.engadget.com

◯黒服の男=ウイリアム
この登場人物の若い頃、初めてパークに来た頃のエピソードが実は途中で挿入されてくる。これが同じ人物と思ってみるか、全く別の人が今パークで体験している事なのかと思ってみるかで、頭の中の整理状態は全然違ってくる。私はネットで実は同一人物というのを先に見てしまっていたのでそこまで混乱しかなった。彼を狂わせたのはドロレスなのだが、ドロレスはアーノルドが自我を与えているので、人間と同じ様に愛してしまってもおかしくはないというのが肝だ。
俳優はエド・ハリスで、なんとなく映画版のユル・ブリンナーがやっていたガンマンを彷彿とさせる外観で出てくる。

 

◯アーノルド=バーナード
フォードと一緒にパーク創業時にホストを開発していたもう一人の天才。彼の考えではホストは自我を持つ(あるいはいずれ持つ?)事になる。その上で、ゲストの欲望を満たすだけの存在であるならば、このパーク内にいる事は地獄で生きることを意味する。そこから救いたいと考えてパーク開業直前にドロレスに命じてホストと自分自身を殺害させる。
その後残されたフォードは、全ての記憶を消去して修理、なんとか開業に間に合わせたという過去がある。おそらくその後フォードはアーノルドの「ホストは自我を持つ」という可能性を検証し続けたのだろう。その過程でアーノルドそっくりのバーナードを作って、様々な可能性を試した結果、同じ結論に至りあのラストの虐殺へと繋がったようだ。

 

◯JJエイブラムスも制作に関わってる
JJエイブラムスが「トムの手」で書いた様に今回のドラマでも参加しており、各所で秘密の箱を使っている。
まずはホストの設定をうまく使っている。ホストは時間が経っても同じ見た目で、人間は年をとる。その事を使って同じ人物の若い頃の話と、今の話を交互に移す事でいかにも別の人間のように見せることが出来る。観ている側にはわかりにくいが、それこそがミステリーであり、なんでもない事も見逃さないようにという観客の集中力を高める事につながっている。

 

◯オリジナル版との違い
オリジナル版との違いといっても、別にストーリーに変更があるわけではない。この場合のオリジナルというのはアメリカで放映されたもののことだ。それとの比較では、いくつか違いがあるようだ。
まず一つが、今回の「WESTWORLD」はAmazonプライム・ビデオで見られるのは吹き替え版の方だけだ。
私は基本的に海の向こうのドラマはオリジナル音声プラス字幕で観るのが好きなので、最初は気が乗らなかったのだが、全10話を見終わる頃には、むしろ吹き替えで良かったと思っている。
なぜかと言うと吹き替えている人たちの演技が大変上手いのだ。決して間に合わせで作ったわけではないクオリティである。当たり前かもしれないが最初は言葉がと顔周りの動作があってないので違和感がある。しかしそれを超えると、フラットで感情を込めた台詞がしっかりこっちに伝わってくる。アニメを見慣れている自分には実はその方がいいのではないかと思ったぐらいだ。(ハリウッド版ゴーストインザシェルの時もそうだった)また、私の小さい頃はテレビの土曜洋画劇場や金曜ロードショーで観る洋画は吹き替えが当たり前だったのである。

 

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また、もう一点は人体の局部にぼかしが入っている点である。基本的にロボットなんだからいいじゃないかと思うが、それはあくまで設定で基本的にロボット役の俳優さん達は、メンテナンスを受ける時や、倉庫にしまわれている時はスッポンポンである。男性の場合は否応無しに局部が写ってしまうわけだが、女性でもぼかしが入っている。という事は・・・まあそれは確認したい人は輸入版を観るしかない。何れにしてもヘアまでは写っている。
こちらに関しても、私としては見慣れているボカシがかかっている方が、ドラマに集中できてよいと思った。

◯セリフ
良いドラマ、好きなドラマを見た後は、劇中の人物の真似をしたくならないだろうか?中学時代にガンダムをみて、シャアのセリフ「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」を言ってみたりするチャンスは、そのほとんどが若さゆえの過ちではなかったが、無数にあった。その度に脳裏をよぎるぐらいだから、どれだけ深く自分に刻み込まれているのだろうと思う。
このドラマを見終わって、しばらく経ってからバーナードの真似がしたくてたまらなくなった。これも吹替版のおかげだろう。英語のセリフを真似るのは難しい。

◯実際にパークを作ったら
もし本当にウエストワールドやるなら、実在のタレントの顔をスキャンして作ればもっと受ける。何と言ってもそんな相手を好き放題できるのだから。その辺の事を製作陣も考えなかったわけじゃないと思うが、むしろパークのホスト役の俳優は、皆かなり個性的な顔の人を選んでいる様に感じた。そう言う発想とは逆にホストとしての独自性(個性)を持たせる事で、自我を持つ存在、ユニークな存在と思ってもらう様にキャステングされていた気がする。

 

〇人がロボットを演じること

ターミネーターシュワルツェネッガーが殺人ロボットを演じているが、見ている方はもちろん人間がロボットを演じている事をいわば「お約束」として脳内で変換して観ている。その事が一種の脳内ごっこになっており、それをすることが面白のではないかというのが私の、シュワちゃんの出ていないターミネーターが全く楽しめない理由なのではないかと思っていたのだが、今回のドラマでももちろん人間がロボットを演じている。音声コマンドで「機能を停止」と言われると、その場で静止するように出来ているが、そこは最新のデジタル技術で、静止画と動画を合成しているため、本当にピタッと止まる。しかしそれ以外で「感情を抑制」とか「解析モードに入れ」みたいな音声コマンドにも対応するが、それらは全て役者の演技である。そこにこのドラマの一番の楽しみがある気がする。恐らく演じる役者もそこは機械になりきらないと出来ない演技だし、普段使わない演技力を試されるためにかなりやりがいを感じてやった部分なのではないかと思うのだ。

 

 ↓面白くないやつ

↓ 面白いやつ

 

 

◯シーズン2
シーズン1のラストにも出てきていたSHOGUNWORLDは日本の侍が戦をしていた時代をモデルにしているようだ。これがシーズン2では目玉になってくるようである。日本人としては、おそらくアメリカ人が好むサムライの話になっているんじゃないかと心配だが、このシーズン1のテーマの方をさらに掘り下げるのは難しいだろう。その部分をどの様に深めていってくれるのかが楽しみだ。