常盤平蔵のつぶやき

五つのWと一つのH、Web logの原点を探る。

青い鯨

久々に総毛立つようなニュースを読んだ。ネットの記事を読んでここまで不快な感情を持つのは久しぶりなきがする。

gigazine.net


この「青い鯨」を「ゲーム」と呼んでいいのかどうかはさておき、これを考え出してロシアで実行していた犯人はすでに逮捕されている。しかし、この男がネットに公開しているやり方、もしくはゲームのルールは既にネット上に拡散し、中国やインドでも模倣されている。被害者も出始めているようだ。

このロシア人の男の主張では、人間には二種類いて、生きていて意味のある人間と、意味のない人間だそうだ。このシステムは後者の人間を峻別して自ら「別の世界」に行ってもらうためのものだそうだ。

さあ、困った。現在のところ、これはゲームマスター(つまり人間)が、クエストをこなしたプレイヤーに自然文で回答をし続けなければ成立しない。

これは映画「羊たちの沈黙クラリス訓練生が初めてレクターのところにインタビューに来た時に、隣りの牢にいた男に「あるもの」をかけられる。それに怒ったハンニバルレクターは、牢屋の隣から24時間その男にありとあらゆる罵声を浴びせ続けて、その男が自ら舌を噛んで死ぬまで追い込む。この構図と基本的には同じで人間の人間に対する悪意と行動がなければ出来ないことである。

 

 

ところが、この「ゲーム」青い鯨は、ネットワーク上からスマホやコンピューターと行った端末を通して、プレイヤーに働きかけるものだ。
現在のところAIが一番苦手なものは自然言語処理ということだが、そこさえ計算機の演算能力がこの先も増大していけば、いつか必ず可能になるだろう。

 

映画「ターミネーター」で未来はスカイネットという人工知能が支配するネットワークによって人類は抹殺される。そのためスカイネットは若き日のカリフォルニア州知事、アーノルド・シュワルツェネッガーを模したロボットを使って、直接人類をターミネートしようとする。

 

 

ところが、もしこの「ゲーム」をスカイネットが実行可能になれば、あんな作るのに手間のかかる「鋼鉄の僕(しもべ)」を作る必要はない。自然言語処理能力を磨き上げ、参加して来たプレイヤーがこの世に見切りをつけて「青い鯨」の世界へ行きたいと考えるように出来れば、勝手に高いところに登ってどんどん消えていってくれる様になるはずだ。

 

この様な「悪意のミーム」はこれからも続々と模倣品やさらに進化したものが出てくるだろう。それはコンピューターウイルスと同じだ。ネット、つまりデジタル情報としてそれを演算して通信する環境がある限り、そして我々がそれを利用し続ける限り増え続けるに違いない。それに対抗できるのは・・・人間の知性だけなのだが。