この本を読んだ。
正確にはまだ全部読んでない。
最初の方で出てくる「旅人の秘密の鞄」というストーリーのひな形みたいなモノがある。
①旅人が新天地にやってくる。
②旅人の鞄には鍵がかけられ、中には大きな秘密が入っている。
③鞄の中身を知る人物が現れ、鍵を開けるように旅人を誘惑する。
④旅人は誘惑を跳ね返し、鍵がかかっていることを確認する。
⑤新天地の秩序が乱れはじめる。
⑥秩序を取り戻す方法はたったひとつ。旅人が鞄を開けなければならない。
⑦だが、鞄を開けたら最後、旅人は新天地を去らなければならない。
⑧苦悩の末、旅人は自ら鞄を開ける。
⑨新天地は秩序を取り戻す。
⑩旅人は「本来彼がいる場所」へと旅立つ。
三宅隆太著「スクリプトドクターの脚本教室・初級編」より
勝手に転載して怒られないかちょっと心配だが、今回この構造を使ってシナリオ教室の課題を書いてみた。
それが予想以上にうまくいったので正直驚いている。
今通っている「シナリオセンター」は毎週課題に沿って二十枚シナリオというものを書くのだが、それをどのようなストーリーに書けという指示はない。
あるのは課題だけだ。今週の課題は姉妹(兄弟)だった。
それだけだと、どんな話を書いてもいいわけだが、課題をうまく生かした作品になるかどうかは、どのようなストーリーの形に落とし込むかで決まってくるような気がする。
ここで、どんな課題の作品が出来たかを掲載したいのは山々だが、それはまたの機会にさせてもらいます。
本の中でも、いろいろな作品をこの「旅人の鞄」の構造で出来ていることをせつめいしているのだが、ちょっと古いが「ブルーサンダー」から始まって、「ターミネーター2」や「デッドゾーン」などみなこの構造で出来ているそうである。
簡単に言えば、主人公に過去があり、その過去を知る人間が存在する。そしてその過去によって今が脅かされるために、結果として主人公は自分の過去と向き合うというのが骨子になるが、それは実は万人に当てはまる話だし、最近はやりのアドラー心理学にも言われているように、過去は今には何の関係もないのである。結局は主人公の感情とか気持ちの問題なのだが、それが実際の行動や、周りの人間関係に影響してくることによって現実に影響を与える。それをどうにかするという、普通の人間が生きていれば当たり前にやっていることだけに、大勢の読者や視聴者を獲得できるのではないかと思った。